法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『怪談レストラン』じゃ、バーイ/真夜中の王女/雨の夜の客

「じゃ、バーイ」は古典的などんでん返しだが、死んでさえも勝負を続けたいと願う少年という描写にすることで、ちょっと良い話に変奏。ある種の情熱を賛美する物語として、出崎統演出で見てみたかった*1。畑野森生演出はカメラ揺らし等の技を見せていたが、最終的には恐怖とも感動ともつかない、このアニメらしい投げっぱなしで終わってしまった。
「真夜中の王女」では、シュウ少年が外国の恐怖伝説を語る。伝説のイメージ映像として、アンコ達のコスプレ姿が楽しめる。子供向けアニメではオーソドックスな手法だ。本来は怖がりでいて朗らかな現代少女アンコに悪魔が乗り移り、美しい衣装を身に着けたまま低い声で這いずりまわる姿に、二次創作パロディのような面白さがあった。そうして終盤までは怖がらせながら、オチに眼鏡をもってくるギャグが炸裂。良くも悪くも学芸会のような楽しさだった。
「雨の夜の客」は短すぎ、かといって目につく演出もなく、あまり楽しめなかった。密閉状況に超常現象で水が満ちるという演出は実写でも見たことあるが、アニメでは比較的に手間がかからない描写なので、あまり異常性が伝わってこない。


様々な方向性のホラーを、それぞれの基本となる展開だけ見せる。ホラーで怖がらせることを目的とするのではなく、ホラーの種類を教養として教えたり、認知度を高めるような、「教育」っぽい番組作り。
この様子だと、自由度が高い脚本で怖がらせてくれるのは、パターンが出そろった後、応用を始めてからかな。


作画は総作画監督修正が行き届いていたので良くも悪くも安定。クレジットを見ると、大西陽一が作画監督していたり、原画に佐藤元や佐々門信芳がいたり、色々と面白かった。佐々門大先生は『空中ブランコ』とのかけもちか。

*1:同じように恐怖話を短い時間で演出した『世界昔ばなし』での、出崎演出の密度は凄かった。