法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『怪談レストラン』憑き物/生まれ変わり/子育て幽霊

「憑き物」は古典的なコックリさん怪談だが、「コックリさん」という名前で限定せず、名も無き占いとしてすませていた。恐怖体験をへて占いをしないようになった、と最後に語られたところが教育的。
冒頭の西日がさしこむ校舎が、なかなか良い雰囲気を出している。低級霊に憑かれて教室内を暴れまわるアクションでも、妙に力が入っていた。少し背景動画もあったり、やけに動いていたな。
「生まれ変わり」は、主人公の弟が、自分が江戸時代に飢饉で苦しみ死んだ子供の生まれ変わりと主張する話。恐怖感を呼びさますような演出を排し、淡々と出来事を積み重ねていくところが不思議な現実感をかもしだしている。あえていうなら、撮影手法ではなく演出のトーンがドキュメンタリーに近いかな。
結末で食べ物や家族愛がいかに大切かを語ったり、話が終わった後にレストラン支配人が元となった江戸時代の逸話を語る教養番組らしさがあったり、これも教育的。
「子育て幽霊」は死後も子供を愛し続け、子育てをする母親の話。体罰を批判し、親は子を愛し続けるべきと結論づけ、これは親向けに教育的。


なんだか今回は奇妙に教育的な話が並んだ。しかし怪談としての基本はしっかりしていて、織本まきこの演出もメリハリがあり、アニメ番組としては悪くない印象がある。
作画監督は大西陽一と今木宏明で、絵柄が作品イメージに最も近い。ついでに原画で佐々門信芳の名前を見て、不思議な安心をおぼえる。