法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

自称中立というアウトソーシング

はてなブックマーク - ならば何に価値があると認めるのだろうか - 法華狼の日記

plummet |Д゚)ジー, 教祖様が見てる おんや、何故にTBが来てないのだろう 2009/10/02

求められたようなので、トラックバックを送った。……しかし、なぜトラックバックを送ってほしいのだろうか。
私は同趣旨のコメントを書き込んでおり、エントリに気づかなくとも応答が不可能という状況ではない。ログアウトせず書き込んだから、コメント欄からブログトップへ飛んでエントリを確認することも容易だ。直リンクしているので、アクセス解析からたどれることもできるかもしれない*1トラックバックは言及したことを伝えるため行うものと思うので、コメントを記録するエントリで行う必要があるとは思えないのだが。
逆にplummet氏は、id:toled氏がはてなID保有者と知った後でも、コメント欄で評している時にIDコールを行ったり等はしていない。私の書き込みと違って、toled氏に気づいてもらえるような努力は見当たらない*2
そもそも最初からplummet氏は自身を「ヲチする」側に位置づけ、今回のブックマークコメントでも「教祖様が見てる」というタグを使用している。言及されている立場なのに、見られたという類いのタグは用いていない。ブックマークの性質上、コメントをつける側に見る意識が強いことはしかたないかもしれないが、はてなブックマークはコメントをつけた側も俎上に上げられることが少なくない。自身のエントリへ言及された応答として、「被言及」というタグを用いるブックマーカーもいる。
plummet氏はTwitterで「レス大会終了。はてな日記に転載するようにしたためか、フォローする人がホントに増えたな。ヲチられてるね、俺」*3と書いているようだが、もともと他人を見ていることを表明した時点で自身も見られることを引き受けなければならない。自分が少しでも言及された時には伝えることを求めながら、他人へ言及する際は恣意的に伝える態度は、ちょっと虫が良くないかと思う。もちろん、このことだけなら、plummet氏を批判するべきとは思わないが。


さて、エントリの返答から、まず「自称中立」という言葉について。
http://d.hatena.ne.jp/plummet/20091002/p1

 俺は、自分の政治的な立ち位置を「保守」ないし「保守リベラル」と自称していますので、政治的な立ち位置の意味合いでそれ以外の呼ばれ方をすると、それは認識が間違っている、残念でした。としか言葉を持ち得ません。

他の場面で自身の政治的立ち位置を明言していることは、自称中立という評価へ反駁できる十分条件ではない。他の場面で南京事件否定論を批判する者でも、従軍慰安婦合法論を述べれば歴史修正主義者と呼ばれる。善玉異星人地球来訪説を正しく批判する論者が、他方で悪玉異星人地球来訪説を主張したりする。
そもそも私が違和感を表明したのは【俺が自分を「中立」などと言ったことはなくても、それを『勝手に読み取る』超能力の持ち主らしいので、そっとしといてあげましょう。シッ、チカヨッチャイケマセン。】*4という主張に対してであり、実際に「中の方」「中心」と自称していることも指摘した。他方面で別の自認をしているだけでは不十分だ。
plummet氏が反論するには、「中の方」「中心」という自称が「中立」を意味しないことと同時に、誤読の責任が自分にないことを説明しなければならない。
たとえ「中立」と自称していることが誤解なのだとしても、上記のように主張するからには、説明責任はplummet氏にあるのではないだろうか。実際にも「ただまぁ、もじっている時点で伝わりにくいのは承知しています」と認めている以上、plummet氏が自称中立と評価されるのはしかたがないように思えるし、「誤読」した者を単純に批判できる立場ではないと思う。


さらに「敵か味方か」について。

ただ、自身を中立・中道*1を表明している人がどこかにいるとしても、それが悪いことだとは思っていません。為念。この日本が、そんな程度の思想の自由もない国であって欲しくはないですね。「味方でないのなら敵か」なんて戦前のような息苦しいセカイにもしたくはありません。

全ての発言は政治性を帯びることを避けられないが、それは発言者を政治的な敵味方に区分することではない。発言者と発言とで区別すべきということを書いている通り。もし、発言ごとの賛同や批判も拒絶するというのであれば、自分は他人を自由に評せるが他人が自分を政治的に評してはならないという身勝手な態度でしかない。
そもそも、中立を自称すれば敵視されないという思い違いが批判されるのであって、中立を自称すれば必ず敵視されるというわけではない。右翼が右翼を、あるいは左翼が左翼を批判してはならないわけではないし、右翼が左翼を、あるいは左翼が右翼を評価することもある。批判や反論を頭から拒絶しないのであれば、好きなように中立を目指せばいい*5


そして「党派性」について。

 しかしながら、政治性の問題は差別と違い、「たださねばならない」ような問題ではないので、指摘することには、受け手側の自己満足としての意味・意義しかない。そう思っています。ですので、あなたのその部分の指摘は、俺にはあまり価値がありません。

 なお、個人的には「党派性」という言葉に違和感がある*2ので「政治性」と言い換えています、為念。

「党派性」という言葉を好まず、より広い「政治性」という言葉をつかうべきという意見そのものは理解できる。「右翼」「左翼」という言葉を用い、「はてなサヨク」という言葉を「かつてのネット右翼と違って「実態」もほの見えそうな感じですし」*6と語るplummet氏が主張しては、いささか説得力に欠けるが。
それはともかく、「政治性」という言葉へいいかえるとしても、それを指摘することに価値が感じられないという返答は予想外だった。
なぜ予想外かというと、以前にplummet氏はApeman氏に対し、下記のようなブックマークコメントをつけていたからだ。
「期待権」について追記 - Apeman’s diary

追記:ブクマコメントより
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20080414/p2

2008年04月15日 plummet .(-@∀@) 「「取り急ぎ」でエントリ起こすような内容でもない気が。逆にそうすることによって、自らの立ち位置を宣言している。一般オーディエンスに向けてはそれでいいが、対立軸線上の相手は、そこをあげつらう。

このやりとりを私は知っているし、当時はplummet氏へ言及していないが印象に残っている。ゆえに、plummet氏が自身にかけられた政治的な評価を拒絶するとは思わなかった*7
Apeman氏へ上記のようなコメントをしたくらいなのだから、それこそ匿名掲示板のコメントへ急いで飛びつく必要はなかったし、そうして文脈が理解できていないことを露呈することもなかっただろうに。


全ての発言が政治性を帯びるという話をいいかえると、公へ発信した言葉は政治的な評価の対象にされることを避けられないという話になる。政治的な評価を拒絶するなら、最初から口を閉じ、見るだけに徹すればいい。
対立する政治的な立ち位置の両方から距離をとって、つまりは「中立」の立ち位置から発言さえすれば政治的に批判されることはない、という思い違いへの批判が「自称中立」という言葉には込められている。
今回の返答で、plummet氏は、「ググレカス」という言葉を多用することや、もじりやジャーゴンと答えるだけで文意の釈明を行わないことといった、発言の責を逃れようとする態度が一貫している。何より、引用した情報だけが必要というならtoled氏のつぶやきを直接引用すればいいだろうに、文責不明瞭なコメントで孫引きする形式にし、文脈を理解しないまま誤読した責を負わなかった。
のみならず、自身が行わないことを他者へ求める態度も一貫している。これは「自称中立」と通底するが、中立であろうとすらせず批判を拒絶するという、さらに悪質な態度だ。


あと、誤読や読み落としらしき文章が他に色々あるが、それよりも気になったことを一つ。

5)具体的にいうと、異論を唱えた一人へ集団暴行して事後に反省もしていないことと同等なことを常野氏が行っている、その根拠を持っているのでしょうか。

つ『東浩紀

 

 こういう風に、物事・出来事の「価値の軽重」を問うことは、人それぞれあって然るべき「価値観」の問題でもあるので、たいがい『いやそれは違う』という反応の応酬になります。ですので、ここで表明はしておきますが、あなたのレスポンスは求めません。

 ちなみに、一度ブログを閉じておきながら元の通りに復活させるというのも、この手の電波っぷりとしてはなかなか上出来です。

『いやそれは違う』という反応が予想されるような根拠しかないのに、toled氏が在特会と同等に価値がないと書き、あまつさえ応答を拒絶。『東浩紀』の何が根拠となるのかを質問する以前に、そういう態度を取れる価値観が信じられない。
それにしても、plummet氏の価値観ではうっかりブログを休止することもできないな。そのようなことで、集団暴行を戦果として広報する組織と同等の電波と見なされかねないのだから。

*1:ただしこれは誰もリンクを踏まない可能性もあるし、絶対とはいえない。

*2:メール等で個人的に言及したことを伝えているのかもしれないが。

*3:http://d.hatena.ne.jp/plummet/20091001/p1

*4:http://d.hatena.ne.jp/plummet/20090928/p1

*5:ただしこの場合でも自称中立は批判される。詳しくは、いずれエントリを上げる予定。

*6:http://d.hatena.ne.jp/plummet/20090928/p1

*7:実際、政治的な評価をくだされることは避けられないことは共通理解されていると思い、自称中立について詳しく解説するエントリを書いていた。