夢か現か判然としない、霧の中の小さな事件。
一匹の蛾が灯火にひかれてひとところを回るように、主人公も進むべき道を失っている。
かつて別れた人々とエリンは夢のうちに再会し、また別れる。
示されたのは、忘れていた目的。自分自身の言葉。
目覚めた時にえたのは、ほんの少しだけ前向きになれた気持ち。
布施木一喜がコンテおよび演出、そして脚本までを担当。演出こそ連名だが、映像の統一感が印象に残る。
これまでで最も間合いを意識した演出がされており、かつ一人よがりではない。良い意味で演出家の脚本だ。怪談の謎も合理的に解明され、手際良い説明に感心する。
総集編のように映像が使いまわされているが、手抜きというより過去をふりかえる意味から効果的に用いられていると感じた*1。布施木コンテ回は同じ映像を使いまわして演出のリズムを作るのが特色だが、今回が最も効果的だったと思う。
あと、夢の中のジョウンが夢枕のようだと思っていたら、本編ではなく次回予告で死が明かされる構成に少し驚いた。ここまで堂々と、かつ煽らずに主要登場人物の死を明かす次回予告も珍しい。