法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『フレッシュプリキュア!』第22話 せつなとラブ あなたがイースなの!?

松本理恵演出回。作画リソースが足りない状況での力を見たいと少し前に書いたことがあったが、充分以上な内容だった。
作画監督は手癖の強い河野宏之で、原画もローテーションに組み込まれているスタッフだけ。背景美術スタッフも特に普段と変わりない。
しかし、アバンからAパートまで様々な技法を駆使して作画リソースを温存。回想シーンからして「省略」というギャグで笑いを取り、第4のプリキュアイメージでも複数のネタを入れてくる。そしてシリアスな展開となるBパートでは一転して、良く動くアクションと表情芝居を見せる。河野作画回の長所であるエフェクト作画も充分に満喫できた。


主人公の髪型デザインを活用し、ロングショットでの動きをわかりやすく見せたり、シルエットで羽のように見せたり。
そして暗雲たれこめる状況から、主人公が逆転するとともに晴天となる。演出自体はありきたりだが、夏の青空、強い陽射しのもとで白く映える廃虚という状況が、続いて明かされた敵の正体を逆に痛々しく強調する。
実景写真を参考にしたのか、スタジアムの広大さを感じさせる緻密な背景美術も素晴らしい。それも手段と目的を取り違えているわけではなく、主人公達が分断され、連絡が不充分になるという物語上の必然性によるもの。


ただ、物語自体はシリーズの流れから予想された展開から一歩も出ず、意外性はなかった。
見たい絵を見せてくれたという意味で良い娯楽ではあり、予想された展開ながら密度が高くて飽きることはなく、重要な回で粗を見せないという意味でも巧くはあった。しかし、心に残る印象的な話とは少し違っていた感がある。