法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

遅まきながら『南京!南京!』上映開始のこと

南京事件を題材に、中国で制作された映画『南京!南京!』が4月22日から中国国内で上映開始となった。一時期は同題材の映画『ラーベの日記』に話題がさらわれた感じではあるものの、こちらでも日本人俳優が出演し、終盤では日本兵士の良心も描かれ、そのためか観客から反発までされる事態となった。
陸川監督は映画『ココシリ』*1東京国際映画祭審査員特別賞を受賞しているのだし、この映画制作にあたって日本側資料も収集しているようだから、単純に日本を批判するだけの映画にはなっていないことは期待できる。
現代において、単純な二元論の戦争映画は作られにくい。もちろん中国は一党独裁国家だが、だからこそ日本との関係を極端に悪くしないよう注意される例もある。「反日」だから常に日本にとって都合の悪い主張をするわけではない。実際、この『南京!南京!』も一時は完成が危ぶまれる報道があったのだ。
陸川監督の 「南京!南京!」、製作がストップ? | しゃおりんの何でもウオッチ

 中国映画界の若き精鋭、陸川監督が “南京大虐殺” をテーマに描く映画の製作が、暗礁に乗りかかっている。 話題の中国映画 「南京!南京!」 だ。
 製作チームの “南京組” を立ち上げてから、約4カ月。 日中両国のキャストのオーディションから、オープンセットの着工まで、準備は順調に進んでいるかに見えたが、ここへきて雲行きが怪しくなった。 当初クランクインが予定されていた1月末の現時点で、当局の批准が下りていないからだ。 25日付で、複数のメディアが伝えた。

サーチナ-searchina.net

南京大虐殺を背景にした脚本のため、中国当局の製作許可が下りないのではないかと話題になっていた映画『南京!南京!』が、このほど外交部の審査を通過し、2月末にもクランクインする模様だ。

*1:題材も、チベットカモシカ密猟者を追う、山岳自警団を主人公にした作品。未見だが、ちょうど最近に読んだ町山智浩柳下毅一郎『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判3』で語られていた。少数民族という立場に加え、その社会の主流からも外れた者を描いているらしい。この点でも単純な作風の監督ではないと思うし、国内において微妙な題材も選ぶ気概があるらしいとも感じる。