法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

ニコニコ生放送で日本語字幕配信していた『南京!南京!』を少しだけ見た

チベットカモシカ密猟事件を劇映画化した『ココシリ』*1の陸川監督が、新たに南京事件を題材にした劇映画『南京!南京!』。
約10億円の制作費で2009年に完成。YOUTUBEで視聴したという記事を産経新聞がのせた*2ほどの話題作だが、残念ながら日本では有志によるイベント上映が2回ほどしかない。
それがニコニコ動画のドキュメンタリー配信企画の一環で無料配信された。
ニコニコ動画、中国映画「南京!南京!」などを放映 - 中国国際放送局


アカウントを持っているのでニコニコ生放送を視聴できたのだが、やはり画面上を流れていくコメントの質は良くない。それでも人口以上の人数を殺せないというコメントに対して、南京は100万都市だったとか、当時の首都だったとかの指摘コメントも複数あった。
映画そのものは冒頭のVFXの密度は高く、モノクロで切りとった構図も的確。広々としたオープンセットにたよらない、緊張感のある戦闘も描けていた。この演出の良さは予算があるだけではえられないものだし*3、むしろ城壁都市の攻防戦を映像化するにあたって約10億円は潤沢とはいえまい。日本兵の日本語はハリウッド映画と比べても聞きとりやすく、日本語字幕の必要を感じなかったほど。
物語は、南京内部で逃げようとする側と押しとどめようとする側の衝突を描いたり、安全区を代表して交渉にきた欧米人と日本軍が衝突もせず外国語で会話したり、日中の対立にとどまらない関係を描いている。中国政府の意向でつくられた作品と憶測されがちだが、実際には撮影開始前に中国政府からの許可がなかなかおりなかったことを思い出させる*4


ただ残念ながら邪魔なコメントを非表示しても、映像そのものが生放送は低画質すぎて、カメラワークがはげしくなると全面ノイズになってしまう。この媒体で見てはもったいないと感じて、開始30分ほどで視聴をやめてしまった。だから不評らしい最後のダンスも見ていない。
なんらかのかたちで日本語字幕だけでも提供されるなら、海外で発売されている映像ソフトと合わせ見ることもできるのだが……