5月30日に放送された、NHK総合系報道バラエティ『プレミアム10』の赤塚不二夫特集。赤塚氏が亡くなる2ヶ月前の放映であった。
バカボンのパパ*1が番組全体をながめ、学者による真面目な批評にあくびをし、進行に口を出すという、まさに『天才バカボン』らしいメタな作り。
NHKらしく、バラエティ番組としては刺激が薄いが、資料や批評をわかりやすくさばき、赤塚作品のさわりも紹介し*2、情報番組としての手際がいい。タレントの無理矢理な持ち上げや、逆にネタイジリとしての消費を感じることもなく、本当に赤塚作品が好きなスタッフや出演者で作られた番組だった*3。
松尾スズキ監督脚本によるCGアニメ*4『ニャロメ2008』は、最後のどんでん返しに舞台劇作家らしさを感じつつ、松尾スズキ本人がキャラクターとして登場する出しゃばりっぷりに苦笑い。「ポケモン」「ドラえもん」を毒がないキャラクターの代表例として示す台詞にも、『ドラえもん』好きとしては文句をつけたい。一個の作品としては時代の変化をとらえ、消費されたキャラクターの物悲しさを描きつつ、笑える内容にもなっていて、けして出来は悪くなかったが。
今になって見ると、放映時とは異なる感想を持つ箇所がある。倒れた赤塚不二夫の病院で娘にいった台詞を、番組に登場する漫画家や編集者が真面目に予想する場面だ。
「あっ、おっぱいだ!!」という誰も予想できない正解であったことにまず笑い、次に皆が赤塚不二夫が起き上がる時の第一声を予想する姿にしんみりとしてしまう。
しかしやっぱり「これでいいのだ」、そう良かったと思えるだけの、赤塚不二夫への愛情があふれる番組だった。