法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『Go!プリンセスプリキュア』第44話 湧き上がる想い!みなみの本当のキモチ!

ここしばらく悩むことが多くなっている海藤。過去をふりかえったり夢を見たり、そんな生徒会長を周囲は心配する。
そんななか、天ノ川が緊急事態だといって海藤を呼び出すが……


冬の海というシチュエーションはベタだが、こういう暗い情景をひろうのは『プリキュア』シリーズでは珍しい。おとなびたふたりだけで会話する場面だから成立したのだろう。この展開なら、幼い時代からいだきつづけた夢としてイルカたちと泳ぐ夢が描かれても違和感ない。
おもしろいのが端役にすぎない教師。さまざまな未来の夢をもっていた過去が海藤の視野をひろげつつ、あくまで前半のギャグ描写かと思いきや、その多様な夢を助けたいという気持ちが現在の職業につながっていると後半の戦いで明かされる。未来の夢を怪物化する今作の設定が、あばいた夢の意外性を演出するのは珍しい*1


作画監督稲上晃で、全体的に瞳がおおきくて子供っぽいバランスの顔。しかしいつもの稲上作監とくらべて描線がシャープ。
作画が良いためもあるのか、最近の暮田公平演出回で最も良いと感じた。

*1:しかし、構成としては前々回の天ノ川エピソード前編と同じか。感想では意外性として機能していないと書いたが。『Go!プリンセスプリキュア』第42話 夢かプリキュアか!?輝くきららの選ぶ道! - 法華狼の日記

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』第11話 ヒューマン・デブリ

たがいの力をさぐりあうような海賊との戦闘。そのさなか、アキヒロは敵機にいきわかれた弟が乗っていることに気づく。
からくも鉄華団はきりぬけたが、装備交換のため整備士ナディが宇宙の果てに飛ばされ、タカキは意識不明になるほどの重傷を負った……


鴨志田一脚本の戦闘回。ある程度まで無重力状態を反映させた描写で、敵味方がトンチをつかった戦いをする。
映像面では中村プロのアニメーターに加え、原画に村木靖や柿田英樹などが参加。前半だけとはいえ、浮遊物の多い宇宙空間をいっぱいに使った戦闘をよく支えていた。


さて、実際のナディはコメディチックな描写。戦闘宙域から離れているから、ちゃんと回収するならば船内にいるより安全だろう。下記エントリのように第2話では疑問に思ったが、こういう役割をあたえられているのなら理解はできる。
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』#2 バルバトス - 法華狼の日記

いそいで整備していたから推進剤を忘れていたという台詞は、アクションの高揚感へコメディチックな言動で水をさしてしまったし、無意味に整備士を無能に見せていていると感じた。そこは単純に充分な推進剤を用意する時間がなかったという説明で充分だろう。

タカキも悲劇的な犠牲というより、対処能力でメリビットのキャラクターをアピールしつつ、ひどい状況に直面しても生きのこったという位置づけ。
消息不明だったキャラクターや台詞で言及されるだけだったキャラクターも登場。おおきな動きはないが、無駄もないので見ていて楽しい。


ただし海賊ブルワーズに弟がいたという展開だけは、予想を一歩も出なくてつまらない。ブルワーズ側の隊長がオネエ言葉の典型的なサディストなのもおもしろくない。鉄華団が少年兵だった序盤を思い出させる描写だが、だからこそ切りすてるべき敵ということがわかりやすすぎて葛藤がない。
いっそのことブルワーズはタービンズ以上に仲間意識が強くて、さからわなければ末端にも優しい組織だったらどうだろう*1。それでアキヒロにこっちに来るように弟マサヒロが主張したりすれば、もっと葛藤のあるドラマになったのではないか。相手と同等と見せれば、タービンズの優しさが利己主義にすぎないというエクスキューズにもなる。

*1:仮面ライダー鎧武』のピエールのように、そういう位置づけにスライドする可能性がないではないが。