法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『烈車戦隊トッキュウジャー』第36駅 夢は100点

シャドーラインに奪われた故郷の情報を探す主人公達。シャドーラインに奪われてない地域ならば影響がおよんでいないと考え、かつて一時的に主人公達を教えた教育実習生へ会いにいく。
さくら先生は、小学生だった主人公達の前では、真面目な先生に見えた。しかし大人の姿で大学にいくと、男と見れば合コンのことかと反射的に考える、夢をもてない若者だった。
そこへさらに勝手な採点をする怪人が現れて、トッキュウジャーを混乱させる。


今回は會川昇脚本。子供からは見あげるしかない大人だが、同年齢になればモラトリアム学生という、視点の相対化が面白い。『ドラえもん』の「パパもあまえんぼ」*1を思いださせる、ちょっと苦くて、しかし前向きな物語だった。視聴している子供はどのような感想を持っただろうか。
本筋が重たいかわりに、怪人の攻撃がはじけているというバランスもいい。眼鏡男子のファッションとして落第点を押されたトッキュウジャーが、変身したマスクの線路部分をメガネみたいに外したりする。かと思えば、ナンバリングが敵につけられた点数に改変され、トッキュウ1号がトッキュウ-100号になったり。怪人の多様な能力の延長で超巨大化することで、前回の基地変形ロボが連続して戦いに参加したりと、販促番組としても充分。


ただひとつ気にかかったのが、ファッションを優先している女子学生について、どこか揶揄する気配を映像から感じたところ。主人公はギャップに驚きこそすれ、否定する言葉を発していないのは素晴らしい。その上で、モラトリアムも悪くないとか、ファッションを楽しむことも自由だとか、そういう気を配った描写もあればベストだったかな。

*1:最近にアニメ化された時の感想エントリがこちら。http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20140613/1402757649

『ハピネスチャージプリキュア!』第40話 そこにある幸せ!プリキュアの休日!

今回は三幹部が協力して多数の怪物をプリキュアと戦わせ、アクションが充実していた。しかし物語の本筋は学校生活を平和にすごすというもので、印象としては中休み回のよう。
対人恐怖症だったキュアプリンセスがクラスメイトからファッション番長あつかいされていたり、調理実習でキュアハニーがハンバーグ定食をつくったり、ひさしぶりに学園らしい描写が濃密で満足。ラブコメっぽい描写で妖精の台詞をパロディしたり、余裕も感じさせる。
しかしこういう描写が楽しいと、中盤も学校を中心的な舞台にするべきだったのではないかと感じてしまう。それならばキュアプリンセスの描写も、ぐっと思いいれできたろう。同じシリーズディレクターの『ハートキャッチプリキュア!』は学校を中心に毎回のドラマを展開していたが、今作は中途半端に目先を変えようとしてコンセプトが迷走しているのに新味を出せていないという感じを受ける。


それにしても、かなり良かった前回を超えて作画が良いと思ったら、赤田信人と連名で佐藤雅将が作画監督として初クレジット。
ただ整っているだけでなく、自由に絵柄を変えて、恋するクラスメイトやモブ少女でギャップを演出しているのが面白い。もちろんアクションシーンも動きまくる。
映像リソースに助けられてか、プリキュアの連携する殺陣も良い。演出の鎌谷悠は、コンテもふくめた演出は今回が初めてかな。