法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』奇跡のデュエット!ジャイ&スネ/しあわせトランプの恐怖

アニメオリジナルでのデュエットキャラクターソング販促と、原作に忠実なアニメ化の二本立て。動画工房回なので、作画もよく動いた。


Aパートは高橋渉コンテ演出で、夢の中で動物化した二人と、コンテストで歌い踊る二人が、それぞれ絶品の作画で描かれた。それぞれで細かく異なるふりつけも適度に古臭くて良く、現代アニメの水準で楽しめる。かつて山本寛監督が高橋渉をライバル視していたことを思い出した。
水野宗徳脚本もまずまず。既存の秘密道具を組み合わせて、夢の中のデュエットソングを調べるという展開から、キャラクターを活かした人情話へ移行し、ちゃんとコンテストの瞬間で盛り上がるように構成されていた。


Bパートは、楠葉宏三総監督のコンテ演出。展開については全く原作通り。物語の要素を過不足なく再現しながら、TVアニメとしてのテンポも適切。
しかし改めてみると導入部分が完璧。トランプというモチーフを中心にすえ、主人公にとって幸福な遊びが、その結末でカードが一つ足りないという展開で不安の予兆として作用し、その不足は同時にトランプの機能を物語の流れで説明する役割を持っている。ドラえもんのスポット的な登場もふくめて、脚本の教科書にしたいくらい。

『ルパン三世 東方見聞録〜アナザーページ〜』

脚本も演出も作画も『LUPIN the Third -峰不二子という女-』に遠く及ばなかった。
今年のTVSPは、ここ数年と違って、作画の魅力あるパートすら皆無だった。止め絵で逃げた場面こそないものの、まんべんなく見どころがない。そもそもアクションの物量が少なかった。
ちなみに、キャラクターデザインと総作画監督は『名探偵コナン』の須藤昌朋がつとめており、序盤は良い意味で癖のないデザインかとも思った。しかし、鼻筋の凹凸を強調した絵柄や、中盤から女性キャラクターの目が離れている作画などで、『名探偵コナン』を作画してきた手癖が強く感じられるようになり、最終的な印象は良くなかった。


物語も散漫で見どころがない。敵が小物というだけでなく、あっさりクライマックス直前で倒れ、それから延々と真相の解明描写が続く。ほとんど『名探偵コナン』の劇場版と同じ構成で、『ルパン三世』らしい描写が例年よりも少なかった。
真相解明自体も、次から次へ主人公のもとへ手がかりが集まってくるだけで、巧妙な伏線や意外な繋がりの楽しみはない。
せめて良かった探しをすると、父を殺したとヒロインに疑われたルパン三世が、ICPOと称してごまかし続けたところが悪くなかったことくらい。その勘違いコメディを主軸にすれば、まだしも楽しめたかもしれない。