法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

マッドハウスの制作進行がブラック企業ユニオンに参加したとの報

最初にツイートしている代表作は、生え抜きの監督によるものではなく、東映出身の監督による十年以上前の2作品だが、日テレとの関係の深さを象徴するタイトルでもある。



マッドハウスは日テレの子会社化もしているわけだが、ソニー傘下のアニプレックスが2005年に新興した制作会社A-1 Picturesも、2010年に制作進行が自殺して労災認定された。アニメ業界の外の大手企業の傘下になっても環境の改善ができないことは残念きわまりない。
しかし、業界全体が構造的に問題をかかえている時、問題が表面化するのは相対的にマシなところからという場合もある。あまりにも余裕がない労働者は、新たに労働組合に参加したり立ちあげたりすることが難しい。この事例も、良くも悪くもそうなのかもしれないという可能性を留意しておきたい。

FGOの天野喜孝絵や、近年のSH@RP絵を見て、ちょっとガクゼンとした

b:id:kanose氏を経由して*1ソーシャルゲームのキャラクターを天野喜孝が描くという企画と、若いゲームファンからの不評について見聞きする。
www.aniplexplus.com

*1:アカウントは消されているが、kanose氏も不評に一定の同意をコメントしている。天野喜孝氏のFate絵、ちょっと手抜きに見える感はある - kanoseのコメント / はてなブックマーク

続きを読む

東映アニメーションが社会保障のついた契約社員制度を導入したとの報

さらに東映動画労組の活動で家族手当がついたともいう。



ツイートで指摘されているように、もちろん一般向け企業では珍しくないが、仕上げのデジタル化などでも業界全体を引っぱった最大手の起業である。今後につづく流れができると期待したい。


また、下記の漫画家とのやりとりによると、2012年から社長となった高木勝裕氏が熱心にとりくんだ結果でもあるようだ。


「異世界転生・転移もの」を合わせた通称だけなら、「異世界転生」で充分ではないか?という提案

少し前、「小説家になろう」の代表のようにイメージされるジャンルカテゴライズについて、id:kazenotori氏が下記エントリを書かれていた*1
「異世界転生・転移もの」の略称というか通称を考える - WINDBIRD

異世界転生とは「現実世界で死んで異世界に生まれ変わる物語類型」、異世界転移とは「現実世界から異世界に移動する物語類型」のこととする。

「勇者として異世界に召喚されるもの」や「現実世界と異世界が接続されて行ったり来たりするもの」などもそこに含めることとする。

つまり現実世界とは遠くへだたれた異世界が存在する設定で、もともと現実世界にいた主人公が異世界に移動することからはじまる物語類型の考察だ。
もちろんそうした類型がかたまっていくことで、それを逆手にとった創作がおこなわれるのも世の常だ*2。そうしたジャンルカテゴライズは模倣と逸脱のグラデーションな境界線でおこなわれることは前提である。
そもそも転生と転移という狭義のカテゴライズも、不本意な死の補償としてもとの姿のまま転移をおこなう作品群を思えば、はっきり区分できないグラデーションがあるといえる。


そうしていくつかの通称を提案する上記エントリに対して、私は下記のような提案をコメントした。

固有の作品名のナルニア型とならんで、けっこう本気の提案としてダンバイン型なんてどうでしょうか。
本編は基本的に召喚型でありつつ、後半から異世界と現世を往来する展開もあり、外伝には転生主人公も登場する。つまり異世界と現世を主人公が移動するパターンの全てをシリーズとして押さえている。
そして日本の作品だからこそ、日本のブームを象徴する名称といえる……かもしれません。

海と陸の間にあるとされる異世界バイストン・ウェルと、現実の地上界を往来しながらつむがれるファンタジー作品群。
通常の手段では行けない文明も文化も異なる異世界がある設定が基礎にあり、そこへ地上人が行く過程はエピソードによって異なる。
だからこそ、多くのジャンルを包摂しつつ異世界と現実世界の対置を重視するファンタジーの象徴として適切ではないかと思ったわけだ。


もうひとつ、後から思い出したこととして、下記のようにもコメントした。

そういえば、貴種流離譚のような類型呼称のひとつに、異郷訪問譚という類型もあります。
https://researchmap.jp/jopu0j5t4-1928848/

訪問者は異郷を訪問する。その後、訪問者が再び故郷に戻ってくる物語もあるが、戻ってこないものもある。

地獄めぐりや天国めぐりをする物語が典型的ですね。
ただ、ここでいうようにわざわざ転生や召喚する異世界と比べて、すぐ隣の世界というか、歩いて移動できそうな不思議な距離感が、ちょっとイメージにそぐわないのかもしれません。
(神話の地獄めぐりは徒歩で向かうようなイメージがありますよね)


しかし、狭義のジャンル間でもグラデーションがあることを考えているうちに、広義の「異世界転生」という通称に、狭義の「転生」と「転移」をふくめても良いのではないか?と思うようになった。
異世界で産まれなおして幼少期から育っていく物語は、メディアミックス展開で念入りに描かれることは少ない。それゆえ「異世界転生」という呼称を、そのような狭義にとどめる見解は広まっていない印象がある。
そして、そもそも「転生」の語義は、生まれ変わるという意味だけではない。辞書を引けば、そのまま現実世界から異世界へ身をおきなおす物語すべてに適用できる語義がふくまれている。
転生(テンショウ)とは - コトバンク

生まれ変わること。転じて、環境や生活を一変させること。てんせい。「輪廻(りんね)転生」

この転じた語義を意識すると、「異世界転生」という通称は「転生」や「召喚」のイメージにもよくあった言葉とわかるし、むしろ「転生」を生まれ変わる作品のみに使うことの難しさを感じさせる。
かつて『ぼくの地球を守って』のような現実世界で過去から生まれ変わるような作品群を「転生物」と呼んでいたことが、「転生」の意味をせまく感じさせてしまったのかもしれない*3


いずれにせよ「異世界転生」が「転生」も「転移」も「召喚」もふくめた通称として問題がないとはいえるだろう*4。先述のように、生まれ変わる場合のみに使われていた狭義の「異世界転生」の通称こそが問題になる。
そこで転生よりも語義がせまく、イメージしやすい言葉として、「異世界輪廻」という通称はどうだろうか? もともと「転生」とセットで使われていた言葉であり、狭義と広義でかんちがいする要素も少ない。
もちろん言葉とは使う人々の意思疎通のためにあるのであって、思いつきで新たに提案しても定着した言葉にとってかわることは難しいが、厳密なジャンルわけをしたい時などに便利かもしれない、とここで提案しておく。

*1:引用時、太字強調を排して、私のコメントの転載は引用符を引用枠へ変更した。

*2:私自身、これまであまり試みられていない構造の異世界転移をひとつ思いついてプロットを書きためている。さすがに検索すれば近い例がいくつか見つかりはするが、組みあわせる別ジャンルとの比重が思いつきとは異なるものばかり。完成までもっていくのが難しいのか、読者受けがよくないのかもしれない。

*3:あえていえば、「転生」を生まれ変わり以外の意味で使うことが誤用だという主張は、辞書的な説明ではそれこそ誤用になる。誤用ではないのに誤用とされてきた「汚名挽回」のようなパターンかもしれない、と疑っているが、くわしく調べていないのでわからない。

*4:ただし定期的に現実世界に戻る「往来」をふくめることは難しい。

はてなダイアリーの下書きが確認できるようになっていた

はてなダイアリーの下書きが移行できない - 法華狼の日記

下書き一覧ページまでは確認できるのだが、実際に個別の下書きを見ようとするとはてなブログへリダイレクトされてしまう。

上記の件について、他にも困ったユーザーが多かったのか、公式が2月28日の完全停止まで確認できるように変更してくれた。
日記の下書きを確認できるようにしました - はてなダイアリー日記

下書きはインポート・エクスポートに対応しておりません。このため、下書きの内容を確認する手段がなくなっておりました。お問い合わせ等でご報告いただいたユーザーの皆さま、ありがとうございました。

本機能は2月28日のはてなダイアリー全機能停止までご利用いただけます。

おかげで、いくつか完成した記事をはてなブログ内に保存しなおせた。