聖翔音楽学園に、また新たな少女がおとずれて、第99回聖翔祭の成功にむけてクラスが走り始める。その裏方として支える大場ななは、自らが勝利することで祭りの成功をくりかえしていた。
しかしくりかえしの変化のなかで大場ななが敗北し、舞台の「ポジション・ゼロ」に新たな少女が立つ。しかし舞台に立つことになった中心的な少女のひとりが姿を消して……
ライブミュージカルのメディアミックスの一環として作られた2020年のアニメ映画。「劇場版再生産総集編」と称したTVアニメの総集編で、完全新作劇場版への橋渡しとなる。
ハイビジョンサイズのTVアニメ版の上下を切ってシネマスコープサイズにしているが、カットの選択がうまいのか新規作画でつないでいるのか、レイアウトに問題を感じなかった。TVアニメの時点でハイレベルに絵柄が統一されていたので、絵柄の変化がノイズに感じるところもなかった。
内容はTVアニメ版の中盤、第7話「大場なな」で明かされたサプライズを観客が知っていることを前提に、成功に終わる舞台の「再演」をつづける大場ななの視点を重視して描かれる。2018年当時は話数単位ベストテンに私選するほど第7話にインパクトがあり*1、以降の展開は逆に予定調和のように感じていたのだが、展開のサプライズを無くすことで学園を去った者と残された者のドラマを味わうことに専念できた。
少女たちにとって価値があるものとして描かれた抽象的な祭を、興味を失ったようにメインキャラクターのひとりが離れていく終盤に、TVアニメ『少女革命ウテナ』の結末を思い出す。
TVアニメ版での、虚構の価値しかない舞台の中心をめぐって決闘するドラマは、あまりに舞台が抽象的に描かれていて乗れないところがあった。その価値への執着が消えるドラマに総集編では時間を配分したことで、逆説的に舞台に価値があると信じようとする少女たちのドラマに乗りやすい。
