法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』世界のギリギリSP

 冒頭のミニ映像コーナーは、危機のなかをギリギリで助かるまでが映されているので、ただ珍しい危機が映されるよりも展開の意外性と密度が高めで良い。
 下り坂を急いでバックする自動車が何かと思ったら、坂の上からガスボンベが大量に転がり落ちてくる映像など、何かのMVのようだった。


「世界の危険な救助活動」は、チョモランマ*1の登山隊が他の登山客とガイドを救ったりした、さまざまな救助エピソード集。
 チョモランマのデスゾーンにとどまっていた高齢の登山者と若いガイドのふたり。出会った登山隊は酸素ボンベをおくって登頂したが、帰り道で登山者とガイドは高山病にかかっていた。酸素ボンベはどこかに捨ててしまい、意識はもうろうとして会話もまともにできない。登山隊もギリギリの状況なので救助を断念しかけたが、動かないガイドがわずかにまぶたを動かしたことで救出を決意。登山者は肩をかして歩かせ、ガイドはロープで引っぱって、ベースキャンプまでたどりつけた。
 2013年のギニア湾で転覆して沈んだ輸送船の内部で、空気だまりで呼吸して3日間も生存していた乗組員がいた。低体温症にかかっていたが、パニックを起こさないことを期待して酸素補給しながら船内をすすみ、潜水病にならないよう海中の減圧室につれこんで肉体を少しずつ地上の気圧になれさせて生還。その後に船をおりた乗組員だったが、さらに三年後に救ってくれた人々を思って潜水士になったという。


ウガンダの少年野球チーム」は、ウガンダのスラム街から選ばれた幼い野球選手たちが、アフリカの強豪チームとして、世界的なリトルリーグの試合に挑戦する軌跡を紹介。
 何が今回のテーマのギリギリなのかというと、監督がさまざまなミスをくりかえしてしまうところ。年齢制限に気づかず12人しかいない選手が10人しか出場できなかったり、リーグ戦で勝敗数が同じ時のルールをかんちがいしたため勝つべき試合の目標設定を間違えたり。
 天丼ギャグのように編集していたが、裕福なサウジアラビアチームなどとちがって監督がひとりで大半の業務をおこなっていたはずで、ミスが致命的になるのは人的リソースの不足も大きいだろう。地域大会で優勝してもスラム街出身ゆえにビザがとれずに世界大会本選に出場できなかったところは、完全に社会の側の問題だ。
 とはいえ、そのような状況でも子供たちは試合を楽しむ。三位決定戦になってしまったが、相手国から提案されてエキシビション的な試合をおこなう。世界大会に出場できなかったかわり、第一回戦であたるはずだったカナダチームが大会終了後に来訪して試合をおこなう。
 もちろんスポーツ世界大会にさまざまな問題があることはわかるし、商業スポーツの成功で貧困を脱出することは社会問題の解決ではありえないが、だからこそ規則や資本の枠組みを超えた交流にたしかな感動があった。これはきっとスポーツの力であるはずだ。


メーデー どこにもない着陸地」は、1988年の米国で当時最新のボーイング737型機がエンジン停止してしまい、奇跡的に不時着に成功するまでを紹介。
 暗雲のなかで突如として停電したタカ航空の機体。通信もできなくなり、エンジンも停止してしまい、たちあがりの遅い非常用電源で停電から回復してエンジンを再始動する。
 しかし加速する手ごたえがなく、エンジンが突如として火を噴き、あわてて停止。推進力をうしなって降下するしかない。しかし地上から提示された高速道路は地上をまきこむ大事故の可能性があって選択できない。
 不時着しようとした運河のそばに短い中洲があり、横すべりするテクニックで進入方向をあわせて着陸に成功。奇跡的に全員無事の不時着に成功した。
 事故の原因は大量の雹。それだけなら当時でも問題ない防護がエンジンにほどこされていたが、エンジンが停止した時に雹が内部に滞留することが判明。そこから何度もエンジンを再始動したことで損傷が致命的になったという。
 もちろんエンジンを始動しなければそのまま墜落するわけで、パイロットの問題ではありえない。この事故を教訓としてシールドの形状などが見なおされたという。
 ちなみに番組では紹介されなかったが、中州に沈ませないため現地でエンジンを修理して事故調査できるよう自力で飛行移動させたという。さらに2002年にインドネシアガルーダ航空でさらに想定外の雹がふりそそぎエンジン停止にいたった事故もあるとか。

*1:番組ではエベレストという言葉をつかっていた。ネパール側のサガルマータという言葉もあるとはいえ、チベット側の現地の呼称が日本でも定着しているのだから、できるだけ使用したい。