ロッキーはフィラデルフィアの地方ボクサーだけでは生計をたてられず、高利貸しを取り立てる仕事もしていた。何度もペットショップに足をはこんでエイドリアンという店員を口説くが相手にされない。
一方、ヘビー級の世界チャンピオンの相手が負傷し、他に適当な対戦相手が見つからないでいた。そこでチャンピオンのクリードは、地方のボクサーにチャンスをあたえるイベント仕立てにすることを思いつく……
1976年の米国映画。主演のシルベスター・スタローンがオリジナル脚本を執筆し、演じたボクサー同様に一気に人気俳優へとかけあがった。
初視聴だが、さすがにこのレベルの有名作品になると物語展開から公開時の時代背景も知っているし、スチール写真や映像紹介で情景も断片的に知っている。
そのためどうしても先入観をもって見ることになったが、挫折パートが意外と短い。むしろ印象としては存在しない。ボクサーとしての挫折を描く前半時点でチャンピオンが挑戦者に選ぶ場面が入るし、エイドリアンとの距離も少しずつ縮まって中盤の時点で成就する。
どちらかといえば、ずっとくすぶって夢をあきらめかけていた男が、他人を信じられるようになって周囲から助けられるようになり、少しずつ再起していくドラマだった。
大観衆がつめかけているカットは明らかに資料映像で、おそらく映画のためのエキストラは世界チャンピオン戦とは思えない少数ぶりだが、リングの戦いは充分に迫真的なので現在から見ても楽しめた。
ちなみに51分10秒あたりからの、エイドリアンを「壁ドン」で引きとめて、「頼みがある 眼鏡を取りなよ」というラブコメ描写に笑った。単品ならともかく組みあわせとしては先駆的な気がする。
いやラブコメ描写としては最悪なステロタイプではあるが、それもふくめて日本の漫画などへ現在につづく影響があるかもしれない。これまでそういう観点での情報を見たことがなかった。