血液化された怪物を肉体ブローディに注入された男ハマーは、その凶悪な怪物を受けいれてパートナーとなった。しかしブローディの元恋人で、それを血液化して注入した犯人でもある女アリギュラは、ハマーとブローディへの偏執を持ちつづけていた……
強大なモンスタートラックが街を蹂躙するさなか、巻きこまれた主人公。アリギュラから恋話を要求されてしまう。モンスタートラックの派手な破壊描写と、その静謐な車内のラブコメ描写。それぞれのキャラクターをつらぬくことで生まれる温度差が面白い。
ボンズ制作らしく作画の力をクライマックスに持ってくるかと思えば、BGMの対位法で肩透かしして、大騒動は主人公のちいさな恋物語に結実する。中盤の事件を前後の日常ではさみこむ構成が明確。主人公の能力の応用も、きちんと伏線を入れていて理解しやすい。
アクションを除いてはカメラワークをつけず、ロングショットを積み重ねて、静かに盛りあげていく。求めていたものとは少し違うが、好ましい。