法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』やることなすこと全部極端だなぁSP

「インドの修行者」は、冒険家のトッド・サンプソンがインドでも特殊で過酷な修行をするサドゥーという修行僧たちに密着する。
 平和を祈って地面を転がりつづける修行僧はその速さや長さで見ごたえあったが、大半の修行僧ははっきりした根拠もなく悟りをひらくために意味不明な苦行を自身に課していく。どれも大道芸じみていて、それでいて地味。
 もちろん宗教や信仰とは本来そのようなものだろうし、異なる文化から否定的に見るべきではないとは思うのだが、同時にブッダが修行を無意味と考えてから独自の宗教をはじめた意味もわかるような気がした。


「豪華クルーズ船の裏側」は、1週間かけてカリブ海をめぐる定期豪華客船「MSCシーサイド号」の舞台裏を紹介。
 全長323メートル、20階建ての船内には5000人もの人が宿泊できて、窓が高くならぶ外観もホテルのよう。しかし世界一周をするようなタイプではなく、せまいカリブ海を一周して帰港しては半日で準備して出港する。
 そのため大勢のクルーがいっせいにベッドメイキングをしたり、乗客の荷物や数百トンの高級食材を急いで搬入する。地上のホテルと違って乗客は外食できないため、調理場は朝から晩まで料理をつくりつづける。
 1000人以上のクルーは船内の隔離された区域で生活。さすがに清潔な場所だが与えられた部屋はせまく、窓もない。息抜きできるのはカリブの港に停泊する数時間だけ。
 しかし毎日1t以上も出る食べ残しは、粉砕して海に流して生き物の餌にするという説明は、ちょっと環境負荷に無頓着すぎないかと気になった。さすがにスタジオでもツッコミを入れられていたくらいだ。


「バンサー王とその娘」は、ガーナからドイツにわたって自動車修理工場を営むセファス・バンサー王と、その後継と目された娘の物語。
 ガーナという国全体ではなく、あくまで一民族の王。しかし儀式的な意味でだが数万人の民族の長であり、ドイツに居住しながらリモートで民の要求を聞く。ドイツを本拠地にすることで先進国の寄付をつのることができたり、ドイツ政府と交渉して橋などのインフラ整備を助けてもらったりもする。王とはいっても意見の集約と調整に追われて、先進国から支援をひきだすため自国から離れて生活しているようで、私利私欲にはしる余裕もなさそう。
 自民族のため奮闘しているためか、ドイツ人の妻をつれて帰国すれば、王と王妃として大歓迎される。しかし70代となりそろそろ後継を考える必要が出てきた。長男と長女のうち、デザイナーとして活躍している長女を祖国につれていくが、ドイツで生まれ育った子供は王になるつもりはない。しかし王とは別のかたちで故郷のために活動しようと考えていることが明かされる。
 スタジオで語られた後日談によると、まだまだバンサー王は王位をゆずらず活躍しているとのこと。いずれにしても現代にこのような王権と行政が成立するというのは、なかなか興味深い光景だった。現代を舞台としたポリティカルアクションの素材にも、近未来SFの社会設定にもつかえそう。