法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ヒート』

 見事な手際で現金輸送車をおそった集団だが、無駄な血を流したことで内部に亀裂が生じる。一方、それを追う刑事も生活を犠牲にしながら、少しずつ犯人に肉薄しようとしていた……


 迫真の銃撃戦で知られる1995年の米国映画。マイケル・マン監督が自作のTVムービーをセルフリメイクした。

 強盗と警察の戦いだけで3時間弱。見ると恐れていたより弛緩した時間はなかったものの、やはり長すぎる。伝説の銃撃戦がクライマックスではなく、それ以降の物語も意外と長くつづくことにも驚いた。
 しかしビル街を実際にロケーションした銃撃戦は、たしかに伝説になるのも当然のすごさ。VFXではいまだ難しい実景の現実感と、実際の空砲による反響を録音した音響。リロードしながら撃ちつづける戦いを、BGMを排した乾いた演出で見せ切った。
 現在では法律で認められないという空港のゲリラ撮影も、一対一で延々と追いかけっこをしているだけなのに、独特の緊張感がある。一度は華々しい場所で大規模な戦闘をおこないながら、最期は何もない場所で誰にも注目されない犯罪者の末路。