法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』宝さがしペーパー/カッカホカホカ

 新年最初は前後とも『ドラえもん+』に収録されたもの。しかし未収録なことが意外なほど内容は悪くない。


「宝さがしペーパー」は、どこにいったか父親が忘れたお年玉を秘密道具で探す。暗号めいた文章を解いてお年玉を見つけることに成功し、のび太は多くのお年玉をくれる叔父も見つけようとするが……
 鈴木洋介脚本に、ひさしぶりの金子伸吾コンテで、正月らしい原作をアニメ化。短い原作に、ジャイアンがなくしたスネ夫のラジコンと、しずちゃんによる老婆の財布探しを追加。
 アニメオリジナルの謎解きもふくめて、どれも子供向けとして適度に歯ごたえがあるし、あぶりだしのために第三者の焚火を利用したところも御都合主義ではない季節感があって良い。財布探しで影の方向を謎解きに組みこんだところは良問とはいえないものの、時間がたっても推理できるレベルなので許せる。


「カッカホカホカ」は、よく怒る祖父を怖がっている少年が、それゆえ寒い日なのに家の外にいるところをのび太が見かける。帰宅すると、野比家のストーブは燃料切れで灯油屋も休みだという……
 寒い季節らしい原作を2005年リニューアル以降で初アニメ化。怒りをエネルギーにする秘密道具で、原作には存在しないジャイアンを怒らせる展開を追加。爆発もあわせて「まあまあ棒」を思い出させる。
 ジャイアンが残念賞しかもらえず、それがタワシというのは何度もクジを引いても問題ない消耗品にすべきと思ったが、昨年のストラッププレゼント*1と関係があるのかもしれない。それに、かさばるタワシをたくさんかかえたことでジャイアンの顔が隠され、怒りに気づかず挑発する展開につながったので納得感がある。直前に秘密道具がぬかれていることも、人ごみのせいでジャイアンの状況が確認できないという会話があって、余計なツッコミどころをつぶすていねいさに感心した。
 よく怒ることに相手のための心情が隠されていたという真相は、悪い意味で2012年の誕生日SPを思い出した*2。しかし台詞をよく聞くと、その怒りが自分でも制御できていないことや、発奮させるためであっても的外れだったというニュアンスが感じられたので、全体としては意外と悪くないと思えた。