法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』この世はでっかいアドベンチャー キケンな旅スペシャル

 2時間SP。サブタイトルは少し前に亡くなった鳥山明の代表作の主題歌を意識しているのだろうか。


「危険なお仕事 ガボン共和国編」は、比重が軽く巨大な樹木オクメを切りだし、水路や陸路で運搬するガボンの人々を紹介。
 巨大トラックからはみでるくらいのオクメは、数十トンにもなる。舗装されていない道が多いため、よくトラックはぬかるみにはまり、道路から落ちたりする。悪路の振動で少しずつオクメがはみだしていくが人力でもどせるはずもなく、崖に向かってバックして押しこんで固定しなおしたり。
 故障したトラクターに蜂の群れがおそいかかり、修理が来るまで逃げ出した運転手が逃げこんだ家も蜂だらけ。なかにいた呪術師は怪しげな音楽を奏でているが、なぜか蜂がよってこない。説明はなかったが、蜂が嫌う音か匂いでも出していたのだろうか。
 また、川でもオクメの木を浮かべてワイヤーで固定して、巨大イカダのような状態を船で動かす人々もいる。専門性が少ないためか陸路よりやや給料は安いらしいが、素人目には陸路より危険で重労働に見える。


「南米空港税関」は、恒例番組のコロンビアやペルーの回をダイジェスト。
 今回は娘が人質にされていたため組織の指示どおりに麻薬を運んで捕まった男の堂々とした態度が珍しいくらい。
 全体として麻薬にまみれた、いかにも南米への偏見を具現化したような事件ばかりだった。


「レンズを通しての冒険」は、水面の上下の情景を一枚の写真におさめるアウドゥン・リカルドセンという自然撮影カメラマンを紹介。
 やや特殊なレンズをつかうとはいえ、アニメで見るような描写が加工しない実写で可能というところは楽しい。さまざまな要素が組みあわさり物珍しさを生んでいる写真そのものもわかりやすい美しさがある。
 しかし要素が多すぎて良くも悪くもクリスチャン・ラッセンを連想したし、撮影前に細かい下書きをして写真の構図や入れこむ要素を決めておくところは作意が鼻についてしまう。
 もちろん一般的な報道写真もさまざまな意図で情景を切りとったものだとは理解しているが、さまざまな要素があつまる奇跡をあらかじめ要素があつまっているところで撮ろうとするのは……父を釣りにつれだして写真を撮ったところも、よく考えるとヤラセの一種のような気もしてくる。その意味では、作意であることが最初から明確な結婚記念写真こそ、水中に花束を入れておくなどの準備も気にならなかったのだが。


「氷床の巨大穴の奥深くへ」は、グリーンランドの地表をおおう氷の状態を危険な実地でたしかめて、気候変動の影響を観測する研究者たちを紹介。
 氷河は夏になると雪溶け水が流れこみ、氷をとかして穴をあける。100m以上の深い穴が見つかったことで、研究者たちは氷床の底の状態が確認できると考え、ロープで降りていく。
 少し降りると頭上には無数のつららがあり、休もうとした段差はくずれ、危険すぎるとして1度目は断念。2度目でたどりついた底は水がなかったが、崩れそうな音がしたので引き返す。そして3度目にいくと穴の形状はおおきく変わっていた。たどりついた底を細いドリルでつらぬくと、冬なのに水が噴出。氷床の底に水が流れて全体を海へ流し、急速な海面上昇をまねいているという仮説の傍証が発見された。ヘルメットもつけていない探索はどうかと思ったが、ドリルで穴をあける姿を見てドローンでは不可能だなと納得した。
 他にも雪原を歩いて移動しながら風雨を観測するふたりの研究者も登場。うちひとりは日本人で、インスタントラーメンを作って楽しんだりする。しかしテントは薄く、吹雪がくれば吹き飛びかねないので氷を切りだしたブロックを周囲につんで、半分イグルーのような形状で風雪にたえる。
 気候変動の現状が待ったなしであることを実感するドキュメンタリだったし、それを調査するためにどれほどの研究者が人生をささげているかというところは感動的ですらあった。


「ゾウのサイアム」は、パリにある博物館で剥製となって展示されているゾウの数奇な運命を紹介。子供に老人が語りかける導入は、おそらく元になったドキュメンタリがそのような子供向け形式だったためだろう。
 1946年にインドで生まれたが村をおそう群れを現地人が倒そうとして、はぐれたコゾウを発見。飼育所で育てられ、やがて作業用の家畜として活躍。信仰の対象にされるゾウの一頭になったが、スイスのサーカスに売られ、やがてフランスの映画監督に注目されて映画に出演。子役とふれあいながら傷つけるどころか危険から遠ざけるような動きをして、演技ももうしぶんなし。しかし以降は映画に出ることもなく、メスのゾウだらけの動物園にひきとられて長い余生をハーレムのように楽しくすごした……
 生き神あつかいからサーカスに売られたところは動物虐待につながりかねない問題を感じたし、巨体ゆえ前足に負担がかかりすぎるようになって安楽死をむかえた最期も人間の都合にふりまわされた生涯という印象が強い。


「遠隔地に医療を届ける」は、モンゴルで牧草をさがして移動する遊牧民を追って、医療をとどける女性医師を紹介。
 マイナス45度にもなるツァガーン・ウールで、バイクを走らせる若い女性ソブダ。この地域出身で都会に出ていたが戻ってきたシングルマザー。トナカイを放牧している人々を追って定期的に医療を提供しているが、今どこにいるか不明なので探しまわるしかない。スタジオで指摘されたように遊牧民が移動する場所をソブダに教えるべきだろうし、何ならGPSなどで自身の居場所をつたえながら移動したほうが安全のためにも良いのではないだろうか。
 しかし歯がほとんどボロボロなのに治療できない患者が複数いるところなどを見れば、遊牧民が貧しい状況にあることもわかる。ソブダが遊牧民さがしに動きやすくなるまで季節が変わるのを待たなければならなかったり、土地そのものの過酷さもつたわってくる。さすがに国家が補助はしているようだが、それでもひとりの医師にまかせることには無理があるのではないか。