落ちついた喫茶店に杉下右京が訪れる。その喫茶店のマスター孫崎永良と杉下は旧知の関係で、たがいが予想したような立場にいないことを皮肉るように指摘する。砂糖にかけたブランデーのアルコールを火でとばし、紅茶にいれるマスター。
少し前、セックスしていた男への仕事の斡旋が不可能だと教育長をしている女がつたえると、男はこの関係の情報を金銭に変えようとする。しかし逆上した女が男を殴り、殺してしまった。そして女は事件師に後処理を依頼したところ、それが弟子を通じて引退していた孫崎を巻きこむ……
真野勝成脚本で、地力をつかう犯罪者と名探偵たる杉下のゲームめいた駆け引きを描く。
倒叙ミステリ形式だが、孫崎の次々に打つ手を杉下がそのまま攻略していくので、駆け引きの妙味は感じなかった。孫崎の引っかけに杉下が引っかかる局面を一回くらい入れても良かったと思う。最後の最後に視聴者をも騙そうとするツイストを入れていたのは良かったが、あまりにも孫崎の豹変がそこまでの性格描写から乖離していたので、どのようなトリックをしかけているのかすぐに予想がついてしまったのが良くない。
あと、感情のまま人を殺し、父の威光を笠に着て事件師へ高圧にふるまう愚かな女キャラクターにはミソジニーを感じないでもなかったが、威厳をたもっていた父が最後には悪あがきのように娘を切り捨てて、父娘ともに薄っぺらいキャラクターになって逆にバランスがとれた。