法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 season24』第5話 昭和100年

 川のそばの遊歩道で大学の関係者が刺殺されていた。それを見おろしていた女性が、落ちていた花束から百合をぬきとって持ち去る。被害者がもっていた手紙には、昭和最初の殺人事件の被害者の名前が記されていた。百年前、同じ場所で同じ大学の関係者も刺殺され、それはちょうど昭和元年の年号が変わった当日だった。特命係が捜査にくわわると、その大学がサルウィンで資源開発をおこなっていた時の問題が浮かびあがる……


 橋元一監督、川﨑龍太脚本で、昭和百年をテーマにして、大学と植民地主義のつながりを描いた。ただし昭和初の殺人であったことやちょうど百年後に似た殺人が起きたことは偶然にすぎずミステリ的な意味などはないし、大正デモクラシーの終焉などを台詞で語らないのでドラマ的な意味も弱い。
 亀山夫妻がかつて警察をやめてサルウィンで要職についていたことが事件の捜査に役立ったことは良かったが、サルウィン人がまったく画面に登場しないことは残念だった。昭和という時代をふりかえりつつ、排外主義が蔓延する令和にかさねるドラマにしてほしかった。
 何より残念なのが、人間関係がせまいし動機も途中で示唆されたまま大学不祥事の隠蔽なので、真犯人に意外性がまったくないこと。簡単なツイストは入れているものの、そこから杉下が真犯人を推理した映像的な手がかりを画面にはっきり映していないのでミステリとしてフェアとはいえない。いくらハイビジョンでもネクタイピンの違いは写真を拡大してもよくわからないし、そもそもそれ以前に大写ししていないので釈然としない。映像で先に映せるはずの手がかりを解決編で初めて見せがちなのはこのドラマの悪癖だ。