法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ドラドラ兄妹げんか/しあわせのお星さま

「ドラドラ兄妹げんか」は、どら焼きが買えなかったドラえもんが、部屋にあったメロンパンをかわりに食べた。しかしそれはドラミが楽しみにしていた特別なメロンパンで……
ドラミのメロンパン愛好設定を引いて、なかなか買えないプレミアム品の入手をめぐってドラえもんとケンカ。隣の芝生は青いとばかりに、ジャイ子には優しいジャイアンそっくりの性格にさせようと秘密道具をつかう。
基本的にはオーソドックスな作り。秘密道具がお茶型なので淹れる手間がかかるところが良かった。解除に別のお茶を淹れなければならず、ジャイアンドラえもんがケンカしている横で時間をかけてドラミが茶を点てる姿がおかしい。その茶を飲ませる時、湯呑ごとドラえもんの口に放りこむギャグもひどすぎて笑った。
映像面では、ところどころでジャイアンドラえもんの描線を太くして、迫力を出している。よくある手書き風の荒い線ではないのが特徴か。氏家友和コンテで小西富洋作画監督


「しあわせのお星さま」は、のんびりして転ぶこともないような星に行きたいと、のび太が寝床に入る。それを見たドラえもんは、小惑星を理想の星に改造しようとするが……
ひさびさのそ~とめこういちろうコンテ。さすがに全編とおして映像がいい。作画監督は岩永大蔵。
ミニサイズの樹木が特撮ミニチュアセット用と説明されたり、そもそもミニサイズの世界を作る設定だったり、これも本来なら映画宣伝をかねた原作選定なのだろう。
基本的には原作に忠実で、ていねいに映像化。しかし、せっかく古代魚の板皮類を登場させるなら、恐竜が三十年以上前に描かれた原作時点の学説にそった姿なのはアップデートしても良かったと思う。家の風呂場から水道水をホースで引く描写も、現代では水道代が気にかかるので、風呂の残り湯をつかうようなアレンジが入っても良いかも。
興味深いのが、原作どおりのオチにつながる前、眠るのび太にアニメオリジナルで観察者の台詞がかぶさった。判断が難しいが、ミニチュア世界をつくったのび太の地球もまた創造されたものという、『フェッセンデンの宇宙』的な印象を視聴者に与えたかったのか。それともオチの情景だけ前倒しで見せて視聴者の驚きを増したかったのか。どちらにしてもメタな印象のあるSFらしい描写で良かった。