漫画のタイトルは『草』といい、日本語版は新興出版社「ころから」から先月に発売。
- 作者:キム・ジェンドリ・グムスク
- 発売日: 2020/02/14
- メディア: 単行本
その紹介記事が朝日新聞に掲載された。記者は従軍慰安婦問題を継続して追っている北野隆一氏。
元慰安婦の半生描いた漫画、各国語に翻訳 日本でも出版:朝日新聞デジタル
李玉善(イオクソン)さん(92)の語る半生を描いた漫画「草」の日本語版が出版された。韓国語から各国語に翻訳され、480ページに及ぶ大著は「静かで悲痛、息をのむほど印象的」「描写に力がある」と評価され、米英仏各国で新聞社主催の漫画賞を受賞した。
主流メディアが報じたことで注目されたらしく、はてなブックマークも集まっていたが、最初についたコメントに驚かされた*1。
[B! 従軍慰安婦] 元慰安婦の半生描いた漫画、各国語に翻訳 日本でも出版:朝日新聞デジタル
b:id:irose 朝日どうすんのこれ/id:kincity &スターズ、かまととぶるのは感心しないな。92年の朝日の記事が発端です/尚91年はゴルビー来日/id:emgp 社会共産の質疑に合わせ色々言ったがゴー宣に「確実にどれかは嘘」て言われた件?
他にも日本軍が主導した国家的な戦時性犯罪に対して、朝日新聞に原因を求めるコメントが複数ある。
b:id:dahlia_osaka 朝日発のラノベか。おぞましいわー。
コメントの表現からして、朝日新聞の大日本帝国への翼賛を批判しているわけではないことがわかる。
まず1992年の朝日新聞といえば、軍関与資料のスクープ報道が知られている。もちろん資料の実在性はゆるぎなく認められている。
それがスクープとして重要な位置をしめた一因は、1990年の国会答弁などで、日本政府側が軍関与を完全に否認して調査も拒否していたため。ここでの発端は日本政府だ。
従軍慰安婦の強制連行を狭義にとどめない問題意識は、1990年以前から確実に存在していた - 法華狼の日記
かつて軍関与全体を否定するような主張を政府が行っていたからこそ、1992年の吉見教授による史料発見報道が重大事として受け止められた。
この資料が発見されてからは、日本軍を免罪する立場ですら、強制連行の否認は直接的なものに限定せざるをえなくなっていった。
それとも1992年といえば、スマラン事件の裁判資料をスクープした件だろうか。日本軍が直接的に女性を集めて慰安所におくりこんだ事例として有名だ。
強制連行 自由を奪われた強制性あった:朝日新聞デジタル
インドネシアや中国など日本軍の占領下にあった地域では、兵士が現地の女性を無理やり連行し、慰安婦にしたことを示す供述が、連合軍の戦犯裁判などの資料に記されている。インドネシアでは現地のオランダ人も慰安婦にされた。
これが知られてからは、直接的な強制連行の否認をする動きすら、朝鮮半島に限定せざるをえなくなった。
こうしたスクープをとおして歴史の研究を助けた朝日新聞に対して、irose氏やdozo氏やdahlia_osaka氏は何を求めているのだろうか。