法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

検挙できそうになってようやく捜査をはじめるようじゃ、日本の警察が誇る検挙率も見せかけだよね

春名風花氏がインターネットの脅迫被害に対して告訴状を出したが、神奈川県警が受けとらなかったという。
「うちはそういうのやってないから」|春名風花|note

弁護士さんを通じて、刑事告訴の為の告訴状を神奈川県警察泉警察署に提出してもらっていたのですが

今日、私がレッスンに行っている間に母の携帯に、警察から電話があり「うちは告訴状とか、そういうのやってないから。こういうの送られても困るんだよね~。送り返しとくから。」と言われたそうです。

犯人が検挙されるまでは、殺害予告の被害者が自作自演を疑われるという問題も語られている。

昔、被害届を出しても犯人が捕まらなかったとき、「他の芸能人への殺害予告はtor経由でも逮捕されてるし笑 自作自演、嘘つき」と言われたことが悔しくて、警察に「torでも捕まえられるって聞いたのですが…」と言ったのですが、それについても、「ムリなものはムリ。捜査の妨げになるから、警察に何を言われたとか一切ツイートしないで。」と言われました。

不祥事の多い神奈川県警ならではの問題であるかのような反応も散見されるが、この問題は他地域の警察も少なからずかかえているのではないかと感じる*1


なぜなら約半年前、愛知県で国際美術展が脅迫された時も、警察が被害届をうけとらなかったという津田大介氏の証言と一致するからだ。
津田大介インタビューへの反応を見るかぎり、ジャーナリストとアーティストの政治への距離感を逆に考えている人が多くないだろうか - 法華狼の日記

あいちトリエンナーレ津田大介芸術監督インタビュー|平和の少女像問題、そして「組織化したテロに屈した」という発言の真意語る - 骰子の眼 - webDICE
具体的な情報が多い読みどころはインタビューの後半、被害届けが受理されるまでに時間がかかった経緯。

被害者側が調査して犯人を見つけられる可能性が出てくるまで警察が捜査したがらなかったエピソードなどは、弁護士が一般論として語っていた警察の態度とも一致する。

美術監督たる津田氏をはじめ、美術展の関係者が対応に追われ消耗したのに、やはり脅迫が虚偽ではないかという疑いもかけられていた。
上記インタビューの津田氏の証言によると、被害届が受理されたのは送信したコンビニ店舗を特定し、その情報を警察にわたしてからだったという。

現場に来た警察署員の対応で終わっていて、そもそも被害届を出すような状況ではなかったということです。2日夜に捜査の状況を知事とともに確認しているときに、知事から言われたのは「警察からはファックスが匿名化されていて送り先がわからないと聞いている」という旨の話を聞きました。

うちの会社の社員が5ケタの番号を解析したところ、オフィスの複合機ではなく、コンビニの可能性があるということがわかりました。

店番号をウェブサイトで検索してみると普通に店舗名が出てくるんです。そこで、愛知県内のコンビニの特定までできました。送信時間まではわかってますから、あとはコンビニの監視カメラをチェックすれば犯人がわかる。とにかく早く警察に動いてほしかったので、こちらで調べた状況をテキストにまとめて事務局経由で警察にあげてもらいました。そうしたらその翌日に警察から「被害届を出してくれ」という連絡がきて、ようやく出させてもらえて、その1日半後に容疑者が逮捕されたというのが経緯です。

匿名化すらせず、公開情報だけで特定できるくらいの事件だった。その上で知事もかかわるような大きな県の事業でも、警察がなかなか動かなかったのだ。


こうした警察の恣意的な動きは、検察にも通じるところがある。有罪率の高さは、有罪にできない可能性があれば裁判にかけることを最初からあきらめるからだという話があるのだ。
それで疑わしきは罰せずという刑事裁判の原則が守られるなら良いかもしれないが、いざ裁判にかけてしまうと冤罪の可能性が高いとわかっても引き下がらなくなってしまう。
警察や検察の体面が優先されて、それ以外の大切なことが無視されてしまう体制の問題だ。

*1:もちろん熱心に捜査する事例もあるようだが。