法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 Season18』第10話 杉下右京の秘密

密輸して金塊にかかる消費税を回避しつつ、輸出時の消費税の還元を利用して儲けようとする事件が発生。
それと並行して、杉下が平凡な家族の父親としてふるまっている不思議な光景を冠城は目撃していた……


目立つ行動をとる善良そうな脇役が事件にかかわる悪人というパターン。予想の範囲を一歩も出なかった。さすがに俳優の知名度とクレジット順だけで犯人がわかる二時間ドラマほどではないが。
子供が目撃した怪物のような姿はそのまま人を殺す犯人の姿だったし、その可能性は劇中人物の多くが想定して行動しているので、やはり意外性がない。
DV夫のストーキングに悩む女性が杉下に夫のふりをたのむことと、金塊密輸をめぐる事件の関連性も、女性の息子が事件を目撃した偶然だけで、むすびつきが弱い。
複数の事件を同時に展開するから、犯人の可能性の幅がせばまっている。今回は杉下の家族ごっこに注力して、ストーカーの容疑者を増やして、真犯人から逆算するように謎めいたストーキングを描いてほしかった。


あるいは、もっと金塊密輸とストーキングを密接にむすびつけてほしかった。たとえば、杉下の妻を演じた女性こそが密輸組織のボスだったという真相はどうだろう。
再婚したDV夫から逃れていると称していたのは、あわれな弱者をよそおって警察の油断をさそうためと、さまざま地域を自然に移動するため。
不都合な現場を目撃した息子を部下に始末させようとした判断も、実は夫側の息子だったという真相にすればいい*1

*1:ただこれは、自ら出産した息子でも不都合であれば殺すという人格のほうが、より印象的な悪人になるだろう。