法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』本人ビデオでほめられたい/ホ、ホ、ホタル来い

「本人ビデオでほめられたい」は、のび太が掃除を押しつけられていたところを、かんちがいした先生がほめてしまう。のび太はほめられたことを自慢するために、行動を再現する秘密道具を使うが……
家庭用ビデオデッキが普及しつつあった1980年が初出の原作「本人ビデオ」を再アニメ化。2008年には「のび太はエライ!をもう一度」というタイトルで、寺本幸代コンテ演出でアニメ化している*1
のび太が調子に乗る一方に見せかけて、盗まれたハイヒールをとりもどしたり、秘密道具の悪用善用を素直に見せていく。情景を再現すること自体の面白味を描いている感じか。
アニメオリジナル展開が悪くない意味で目立った2008年版と比べて、今回は非常に素直にアニメ化。正面衝突をくりかえし確かめる回数を増やして、スローモーションを加えたくらい。パクキョンスンが絵コンテだったためか、最後のワイプアウトなどで、2005年リニューアル以前の雰囲気があった。


「ホ、ホ、ホタル来い」は、水をまくことで呼びつけたり追いはらったりできる秘密道具が登場。それを使ってアイスクリームを食べたり、宿題を助けてもらおうとするが……
佐藤大脚本によるアニメオリジナルストーリー。サブタイトルから予想した展開と違って、ホタルは印象的に出てはくるものの、物語のメインは人を操作するコメディ。
スイッチ操作で水が甘いか苦いかを決めて、集めるか追いはらうかを選ぶ「あまくてにがいうち水セット」。もう少しシンプルでも良いと思ったが、アニメオリジナル秘密道具としては違和感のない部類。ただ、甘い苦いの間違いが失敗や成功を生むような原作らしさはなくて、秘密道具の機能を使いきった展開ではなかった。意図せずドラえもんしずちゃんを追いはらってしまったところ、カブトムシを呼びよせる展開で再合流できた構成は良かったが。
しかし腰繁男コンテに丸山宏一作画監督で、おどろくほど映像は充実。真俯瞰を多用した構図で暑苦しさを表現し、手描きのニュアンスが残ったキャラクターの描線がアニメーションとして心地良い。それらが背景美術の細やかさも引き出している。