今週のドラ顔じゃんけんはロッチ中岡が担当。友達どうしでやると楽しそうな遊びだが、ハイビジョンの実写でやられるときついコンテンツだ……
「ポケットの中のぴょん太」は、オーストラリアへコアラを見に行った時、木陰で昼寝をしていたドラえもんのポケットに子カンガルーが入りこむ。知らずに帰ったドラえもんは、親がわりとして苦労することに……
野生動物を飼うことになるパターンのアニメオリジナルストーリー。2017年のリニューアルからメイン的に登板している鈴木洋介が脚本で、前監督の善総一郎がコンテ。
前半の草原の背景美術レイアウトがよくて、適度なアイレベルから映した地平線の高さから広大さがよくわかる。描きこんでいないのに色調から雰囲気を出している美術の技術もいい。木漏れ日が落ちるドラえもんも美しい。カンガルーを意図せず育てることになる物語も、オーソドックスに苦労と歓喜をおりまぜていて悪くない。
ただ、カンガルーは親のポケットを嗅覚で判断しているはずで、ロボットのドラえもんを親と判断したことには何らかの説明がほしかったところ。子カンガルーが群れに戻るクライマックスで、群れからやってきたカンガルーと戦う展開になるのも、動物のボス争いとは違うのではという気がしたし、叩く時のペチペチとした音響が迫力を減じていて工夫がほしかった。
「平和アンテナ」は、のび太がヒーロー番組ムテキマンを楽しみに帰ったところ、両親のケンカを見て離婚を恐れる。ドラえもんにたのんで、あらゆる争いを止める秘密道具を出してもらうが……
意味もなく秘密道具の機能を楽しもうとするパターンの原作を、2005年リニューアル以来に初のアニメ化。脚本は佐藤大で、コンテはパクキョンスン。
全体として原作に忠実で、平和になる過程をひとつひとつのばすことで放映の尺に合わせている。完全なアニメオリジナルはスネ夫のママがバーゲンの衣服を争う場面と、その後で奪いあってたものを分割する描写くらい。
FIX主体で構図を工夫したコンテや、放り出された秘密道具を映すラストカットなど、映像面でも2005年以前のシリーズ演出を思わせる。作画は新しいので古さを感じさせず、それでいて懐かしくも安定した良さが感じられた。