法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ジョジョの奇妙な冒険』Adventure.4-皇帝と吊られた男-

インドの街に降り立った空条承太郎一行だが、ポルナレフはひとりだけ因縁の仇と接触していた。しかしポルナレフの対になる能力をもった敵も登場して……


2000年にOVA化された範囲で、要点となる敵が登場。陽射しで灼けた風景を演出するために、全体的に白っぽく飛んでいる色彩設計が印象的。

よくわからないのがスタッフワークで、第1巻*1と同じ古瀬登と二村秀樹の両監督がコンテを担当しているのに、OPで小林孝志が監督としてクレジット。


やや作画のディテールを落としているくらいで、インドの街並みも制作した当時なりによく調べて描いてあるし、光の陰影が重要なエピソードを当時としては完成度が高いデジタル撮影が支えている。
内容もほとんど原作そのままで、いくつかのシチュエーションを飛ばしながらも、衝撃的なシーンで次回に引く。本来ならばアニメ化として良くも悪くも標準的な出来といった感想になるところか。
残念なのは、第3巻*2までと違って、短い話数に長大なロードムービーをつめこむ工夫が見られないこと。原作を引きうつすような描写に終始し、これまで好感触だったテンポの良さが消え去り、週刊連載漫画であったがゆえの原作の設定ミスをていねいにつぶすようなアレンジも見られない。反撃しようのない敵にポルナレフの心身が追いつめられていく展開をじっくり描きたかったのだろうが、それもテンポを殺してしまっている。
原作でこのエピソードまでに登場した複数の敵も、ただ出番を削除されただけ。たとえば、ポルナレフのライバルとしてホル・ホースを位置づけつつ意外な展開を見せたネーナを、原作でも使いあぐねて途中退場した家出少女と一本化するようなアイデアを見たかった。