法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』秋の音楽祭スペシャル

音楽をテーマにした2時間SP。ミニコーナーも音楽に反応する動物や、メタルバンドをやっている96歳の老婆、パラグアイで廃材で楽器を作った子供たちのオーケストラ、インドで女人禁制の太鼓コンテストに優勝したカースト下部の少女チームなど、すべて音楽しばり。


「タイの草原でゾウを相手に演奏する英国人ピアニスト」は、傷つけられた象に音楽を聞かせて癒そうとする音楽家を紹介。遠くから運んで調律したグランドピアノが演奏前に象に破壊されながら、それを理解する音楽家の姿は良かった。その上で、象が本当に癒されているのかは不明だと北野武がツッコミを入れたのも良かった。
「苦節30年!カナダの売れないバンドが日本で成功?」は、ドキュメンタリー映画アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~』のダイジェスト。メタルの嚆矢として一瞬だけ成功しながら現代までくすぶっているバンドマンの、失敗続きの海外遠征を見せていく。

アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~(初回生産限定盤) [DVD]

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公開時に『映画秘宝』系が絶賛していたのでタイトルだけ知っていたが見たことはなく、アンヴィルが成功する局面が日本だったということは初めて知った。たしかにダイジェストで見ても笑って泣ける、良いドラマだったと思う。
「アナ雪エルサ役歌手がブロードウェイ目指す女性たちに感動ドッキリ」は、イディナ・メンゼルが特殊メイクで歌手を目指す一般人に扮して、同じように夢を追う3人のもとに潜入する。この種のリアリティーショーの展開をオーソドックスにふまえているが、正体をバレないように下手に歌いつづける場面がつづいた最後*1、病院の子供たちのためのチャリティーで「Let It Go」を歌うよう求められ、そこで正体を明かして周囲を驚かせる展開はカタルシスにあふれていた。車椅子生活を送りながらブロードウェイ歌手を夢見る女性だけでなく、その場にいる子供たちにとっても良いサプライズになったろう。


最後に、内戦のつづくウクライナで、ピアノがバリケードに使われるのを止めさせて、バリケードの近くで弾く少女アントワネッタ・ミシチェンコを紹介。ピアノはウクライナの国をあらわす色にペイントされ、バリケードの最上部に配置され、政府側と市民側の中央で音楽を弾くように。市民軍から顔を隠した兵士がピアノを弾いたりも。
やがて激しい衝突がはじまりピアノは放置され、風雨にさらされて弾けなくなる。それでも知りあいの調律師にたのんで音が鳴るよう直してもらい、今では先述の顔を隠した兵士が前線で反ロシア派のために弾いているという。
国歌を弾くような少女の演奏を、ロシア支持の政府軍が大音量のポップスで妨害した場面の倒錯性が印象に残った。番組ではふれられていなかったが、ロシアのポップソングだという。
衝突続くウクライナ、バリケードから流れるピアノの音色 写真8枚 国際ニュース:AFPBB News
そこで番組ゲストが音楽関係者として、ポップスをつくった人にとっても嫌な出来事だったろうと指摘。たしかに最近にも、ドイツではそのように望まぬ使用法をされた前衛音楽家が、対抗運動をおこなったことがあった。
現代音楽で駅からホームレスを追い出す計画、演奏家たちはコンサートで対抗した | ハフポスト

*1:感動的な構成にするため、潜入順序が実際には違う可能性も感じたが。