法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『HUGっと!プリキュア』第27話 先生のパパ修行!こんにちは、あかちゃん!

担任教師の内富士に、もうすぐ子供ができるという。出産をひかえて不安にかられた内富士は、強き父親たる野乃父に弟子入り志願をするが……


東映若手の川崎弘二が演出。フランシス・カネダとアリス・ナリオの作画監督回で、やや目と目が近すぎるが、全体として統一されていたし、ショッピングモールも無理なく絵として起こせていた。
赤ん坊が寝ているため騒音を出したがらないというアイデアで、アクションもかなり面白いものとなっている。回せないドリルの攻防が楽しい。
あと、内富士妻を名塚佳織が担当していて、『エウレカセブンAO*1につづいて出産シーンを演じたことは印象に残った。


しかし物語の本筋は、児童向けアニメらしい理想の描写が、押しつけがましくも納得しづらかった。
父親も育児で協力するテーマは正しいとして、それを師弟関係で教わろうとすることに首をかしげざるをえないし、アルバイトで学んだことになるというのも違和感がある。
また、物語を重くしすぎないようチャラリートで笑いをとる判断は良いと思うのだが、真面目なテーマを描くにあたって確保するべきリアリティまで崩してしまった感もある。たとえばチャラリートが台車で大量の荷物を運ぶ一方、内富士は荷物を手で運ぶ。現代ならば重量に応じて台車を使うことが原則となっている局面だろう。
それでも、肩の力を抜いて他人と社会をたよるべきという説教に結実したなら納得できたのだが、最後は内富士個人の成長に収束する。これではチャラリートとの競争が本筋からはなれた息抜きでしかない。
産婦人科の女医が登場して薬師寺が敬意をもつあたりなど、先日の入試差別を連想させる描写などは印象的だが、これは偶然にすぎないだろう。