法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『HUGっと!プリキュア』第10話 ありえな〜い!ウエイトレスさんは大忙し!

野乃たち3人はフードフェスティバルでお仕事体験。さっそくプリキュアの能力でウェイトレスのコスチュームを着るが、なぜか野乃だけはタコ焼きブースでしか働けない姿に……


デジタル技術や身体能力を活用して薬師寺や輝木が活躍する一方、野乃は売りこみをしてもガンコなタコ焼き職人に断られてしまう。そんな前半を見て、てっきりタコ焼き職人のかたくなな心が敵組織に怪物化され、その浄化と野乃の成長がシンクロする展開になるとばかり思っていた。
実際におおまかなストーリーとしてはそのような構成なのだが、野乃は意図せずタコ焼きの宣伝に成功したが逃げだし、タコ焼き職人は自己批判で落ちこんだ心を敵組織に怪物化されてしまう。そんなディスコミュニケーション状態が結末までつづき、キュアエールに変身できないまま物語が終わった。かわりにはぐたんがプリキュア的なビーム攻撃で怪物を浄化するが*1、それが望ましくない暴走ということが示される。


まさか第10話にしてメインのプリキュアが変身しないエピソードが来るとは思わなかった。過去シリーズでも主人公格が変身しないままというエピソードはほとんどないはず。
わりと前半がデフォルメ作画を多用したコメディタッチだっただけに、後半になっても野乃の挫折が解消されないシリアスぶりの落差が印象的だ。
戦いにさいして仲間を応援するしかない野乃の姿で、今作のメインモチーフを痛々しいものと位置づけた驚きもある。
ドラマがきちんと今回では完結していないことが難とは思いつつ、問題提起にてっした前編と思えば、よくできていた。

*1:全体として甘いフィリピン作画回だが、この前後のカットはビームのタイミングも煙エフェクト作画の立体感も良くて、国内の名のあるアニメーターの担当かと思うほどだった。