法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『planetarian〜星の人〜』

滅びゆく世界で、女性ばかりが住む地下空間。そこで最後の世代の幼い3人が、雪の下に埋もれた老人を見つけた。
老人は旅先で星の物語をつたえることを仕事としていた。そして3人と協力して、小さなプラネタリウムを完成させる……


KEYが2002年から展開したゲーム形式の絵物語を原点とする、2016年のアニメ映画。同年に配信されたWEBアニメ『planetarian〜ちいさなほしのゆめ〜』の後日談にあたり、スタッフも共通する。
配信・劇場アニメ「planetarian(プラネタリアン)」公式サイト

可哀想な設定の少女と、それを救おうとして葛藤する少年の自己憐憫という、いかにもKEYらしい物語を、ポストアポカリプスSFとして展開。
あざとさが気にならないといえば嘘になるが、ジャンル作品として成立しているので、他のKEY関連作品よりは娯楽として素直に観ていられた。映画の時系列で主人公はすでに葛藤を終えていて、迷いのない大人としてふるまっているのも良かったのだろう。
現代のアニメ映画としてはさほど映像にこだわっている感じではないが、WEBアニメの再編集パートと違和感なく統一されているので、ひとつの作品としては成立している。ただ、さすがに映像としての見せ場がWEBアニメパートに依存しているのは残念だった。


また、老人が主人公の物語を約2時間にわたって展開するという物珍しさもあったが、その魅力は序盤だけで終わった。
映画といいながら実際はWEBアニメの再編集版といったところで、新作パートは1/3くらいしかない。物語の大半は、主人公が移動プラネタリウムを始めた若いころの回想についやされている。
その新作パートも津田尚克監督が無理をいって実現させたものらしく、そもそもの企画がWEBアニメを再編集したイベント上映向け作品でしかなかったようだ。
劇場版『planetarian~星の人~』津田尚克監督×折戸伸治×丘野塔也 座談会 「この時代に生きる人たちへ。」 | アニメ!アニメ!

イベント上映ではなく劇場公開となりましたし、上映時間も新作部分が40分、全体で115分ほどとなりました。

最初は「配信版に10〜15分新作カットを足して」と言われていたんですけど、さすがにそれで『星の人』を描くのは無理だろうと。みなさんに無茶を言いましたが、キッチリ一本の映画に仕上げられて感謝の気持ちでいっぱいです。

一方、WEBアニメは5話しかなく、しかも尺は不定期で20分に満たないエピソードもある。ところどころアレンジはされているものの、ほとんどの描写が映画でも視聴できてしまう……