法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『HUGっと!プリキュア』第15話 迷コンビ…?えみるとルールーのとある日

野乃家の皆がいそがしいことを知ったルールーは、つい手伝いを買ってでてしまう。そしてスーパーへ特売の卵を買いに行く途中で、プリキュアを自称する愛崎えみるに出会う……


今回は田中裕太演出に大田和寛作画監督*1で、映像の全編に力が入っている。
単純に作画がコミカルで表情がよく動くだけでなく、真面目な場面はきっちり引き締めて、静と動のメリハリがある。怪物は前景や後景の建造物との対比で巨大感たっぷり。煙エフェクト作画も、色数を抑えつつ立体感がある。テロップ演出も細かくフォント表記を変えて、多用しながら安っぽさがない。


なおかつ絵で目を楽しませるだけでなく、きちんと話を支える演出ができている。
特に、ルールーと愛崎の物語ということをプリキュアの活躍する場面でもつらぬいたことに感心した。怪物の初登場や、愛崎がプリキュア助けられる前後は、愛崎の主観視点で描写されている。怪物を倒してプリキュア3人がならぶカットも、逆光で豆粒のようなロングショット。あえてプリキュアの心情を見せず、愛崎が憧れてルールーが心を動かすドラマを抽出している。
アイキャッチを本編に挿入する演出も、先にコメディな前半へ入れておくことで、ややシリアスな後半に入れた時も雰囲気を壊しすぎない。


ただ、よく見ると描写の過剰や、構成が甘いところはいくつかある。
愛崎家の豪邸ぶりが浮世離れしすぎていてラブホテル経営の成金に見えてしまったり、ルールーが単独行動するきっかけとなった特売の卵が後半のストーリーから消えたり。野乃家がルールーに手伝いをたのむ導入も、ただギャグとして処理するのではなく、居候に役割りを与える意図をにおわせても良かったかもしれない。
とはいえ、抑圧された少女ふたりのロールモデルプリキュアがなるという本筋は明確だったし、薬師寺や輝木のちょっとした足踏みドラマや、クライアス社の有給休暇描写など、本筋とかかわらない部分でも楽しませてくれた。全体としては満足だ。

*1:原画でも筆頭に離れてクレジットされており、相当量のカットを担当していそう。