法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『キラキラ☆プリキュアアラモード』第35話 デコボコぴったり!ひまりとあおい!

次期当主の立神あおいは、父の代役として菓子メーカーのパーティーへ出ることとなった。そこで有栖川ひまりもつれていくことに。
なんとか準備を終えて参加できた有栖川だったが、富裕層でしめられたパーティーに劣等感を強めていく……


最近は漫画の原作やノベライズをおこなっている吉成郁子が、脚本としてシリーズ初参加。
良くも悪くも個性を感じさせない話運びと台詞回しで、菓子マニアの少女と、ロック好きな令嬢のコントラストを素直に見せていく。
パーティー会場にある壁を利用して、心のかげった有栖川と、日の当たるところにいる立神を対比したりと、佐々木憲世の演出もオーソドックスによくできている。
前半の日常における経験が戦闘に活用されるという、いかにも古臭い子供向けアニメのプロットも、けっこう絵に説得力があった。製菓をそのまま魔法として使うという今作の設定が、古典的なプロットにありがちな無理やりさを軽減している。


パーティー出席のため有栖川にマナーを学ばせる前半は、好きになれないシチュエーションだが、今回はかなり許容できる内容になっていた。
今回はケーキのフィルムをフォークで取る方法と、シュークリームの蓋にクリームをつけて食べる方法で、汚れにくく食べやすい技術という意味もあるマナーだ。幼い視聴者にとっても便利な知識になるだろうし、余計な手間暇をかけて優劣を競うような嫌味がない。
美味しく食べることが一番だという立神のフォローもきちんとある。


ただ、当初はキラ星シエルのゲスト参加に違和感をもたなかったが、全体をとおして見ると位置づけがよくわからない。
有栖川がレシピを知りたいスイーツというドラマの主軸も、パーティーのクライマックスも、ゲストのパティシエひとりが担当している。メインを食いかねない別のパティシエを呼ぶ必要がパーティー主催者にあったのだろうか?という疑問がぬぐえない。
たとえば複数のパティシエが競作するようなパーティーが開かれて、キラ星も宇佐美たちもそれぞれ別個に参加していたと説明されたなら、見ていて違和感はなかったろう。せめてゲストパティシエとキラ星が会話すれば、たがいの立ち位置がはっきりしたと思うのだが。