法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『キラキラ☆プリキュアアラモード』第42話 歌えWOW!あおいラストソング!

立神が所属するワイルドアジュールが、立神の憧れる岬あやねと対バンライブをおこなうことに。
しかしベースの園部がワイルドアジュール脱退の意思を伝えてくる。
バンドを立ちあげて、作曲も担当していた園部が抜けるとなると、ワイルドアジュールの存続は危うい……


立神と有栖川のコンビを描いた第35話*1につづいて、吉成郁子が2度目の脚本。立神がどのように自己実現するかというドラマにしぼり、周囲が問いかけたり支えたりするコンセプトが明快。
宇佐美たちは大仰に手助けするかと思わせて、普段の延長で立神と楽しいひとときをすごし、立神の意志を確認するだけ。立神の選択の問題という線引きを見失わないのが好ましいし、多いメインキャラクターをドラマにからめつつも物語を圧迫しない良さがある。もし短い時間で下手に介入させようとすると、複数の意見が安易に一致する押しつけがましい展開になりかねなかった。
あくまで岬は立神の標であり壁にすぎず、ワイルドアジュールの他メンバーもドラマにからむ場面は少ないが、そこまでに立神の選択のドラマということを明示したので、以降の物語も問題なく成立している。


そして将来を決めた園部で始まったドラマは、立神が将来を決めた結果として閉じられる。第14話で示された周辺設定の延長なので、特に驚くところこそないが、相応の納得感はある。
『キラキラ☆プリキュアアラモード』第14話 お嬢さまロックンロール! - 法華狼の日記

パーティーで立神がロックをとおして自分を表現する場面で、物語がぐるりとひっくり返る。バンドの仲間や機材を屋敷に入れられた理由として、青年以外の執事やメイドが協力していたと説明される。ここで立神が自分の道を進みたいと思うドラマから、執事として家族と一線を引こうとこだわる青年のドラマへと、物語がダイナミックに変化した。

思えば園部が将来を決めた理由も、病院をつぐため受験に専念するという、立神に似た状況だった。音楽機材などの投資がおこなえる階級だからバンドを立ちあげられたという納得感もある。


また、作画が予告映像で期待したよりも華やかで驚いていたら、まさかの板岡錦の初作画監督回だった*2
すみずみまでキャラクターがかわいらしく、パジャマパーティーでは止め絵でも個々の性格がわかるポージングをさせて、物語で出せない個性を情景で補完。
三上雅人演出も順当で悪くない。特にキュアジェラート以外のプリキュア変身を暗闇に光るキラメキとして表現したカットは格好良かった。
ただひとつ今回に文句をつけると、必殺技を挿入するためにいったんドラマの流れが止まったのは残念だったが、これは脚本の問題かもしれない。