法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』暴走ランナーパパ/カルガモエッグ

原作短編からのアニメ化と、アニメオリジナルエピソードを合わせて放映。CM明けに来年の映画CMがほんの少し。


「暴走ランナーパパ」は、三日坊主でトレーニングウェアを無駄にしたパパのため、トレーニングせずにはいられない秘密道具「ムリヤリトレパン」をこっそり履かせる……
試練系の秘密道具でパパがひどい目にあうパターン*1の原作に、ドラえもんもひどいことに巻きこまれるパターンを足してアレンジ。のび太にも履かせようとして短足を煽られ、ついトレパンを履いてしまうドラえもんは、いかにもそれらしい行動ではある。
確率が操作されたように危機がふりかかり、それから逃げるように街中を動きつづける展開なので映像リソースが必要なところ、うまく破綻させずしのいでいた。高層ビルから落下したアニメオリジナル描写から、どこでもドアで切り抜けるトンチ展開もSFらしいアイデアで楽しい。


カルガモエッグ」は、無機物にも刷りこみをおこなわせる秘密道具が登場。荷物を持たずにすませるためにドラえもんは使っていたが、のび太は勉強道具を忘れ物しないために使って……
精神操作系の秘密道具「刷りこみたまご」とは違って、無機物を動物のようにふるまわせるパターン。最初はただ労力を省いて失敗する物語かと思わせて、なぜか筆箱だけがうまく動けず、気にかかっていくペット系の物語へと移行していく。しずちゃんのヌイグルミをすりこみさせる展開になっても、残された勉強道具が聞きわけなくやってきてしまう。
しかし、そのままペット系の感動風ギャグエピソードで終われば楽しかったろうが、ジャイアンスネ夫や先生まで秘密道具に吸いこまれて刷りこみしてしまうというオチなのは面食らった。たしかに原作もメインストーリーとは無関係なオチを用意することは少なくなかったが、ちゃんと刷りこみさせられた勉強道具のドラマも完結してほしかったところ。
映像面では、多数の無機物が動物のようにふるまう姿を手描き作画するという、意外と手間がかかることをやっている。その勉強道具の隊列が登校風景から浮かないよう、モブの児童もちゃんと作画で動かしている。きわだったアニメーションが見られるわけではないが、きちんと動かしているので画面への興味はとぎれない。

*1:他にも「くろうみそ」や「アドベン茶」などがある。