法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドリーム 私たちのアポロ計画』に比べると、『新感染ファイナル・エクスプレス』はずっとマシだったな、という良かった探し

『釜山行き』から韓国やゾンビという中核を隠すような邦題に変えたことは違和感があったが、それでもB級娯楽映画らしいことや列車が舞台となることは表現されていて、内容を反映した邦題であることも嘘ではない。
「邦題は『釜山逝き』じゃダメなのか」「いやそれもダジャレじゃねえか」 - 法華狼の日記

たとえ評価が高くとも、単館系や未公開の映画は現在でも少なからず原題とかけはなれた邦題がつけられるとはいえ、邦題がつけられる以前から期待されていた作品がこうなるというのはつらいところだろう。もし原題で知られる以前から邦題がつけられていたなら、また反応は違っていたとも思うが。

一方、原題が知られる以前の問題で、違う計画を副題に持ってくるのは違和感がはるかに大きい。
【更新】タイトルと内容が違う…?大ヒット映画の邦題「私たちのアポロ計画」に批判 配給会社に聞く

「私たちのアポロ計画」とする邦題を巡って、SNSを中心に批判的な意見も出ています。

映画の中では月面着陸に成功した「アポロ計画」ではなく、人類初の有人宇宙飛行を目指す「マーキュリー計画」を中心に描いているから。

「その上で、日本のお客様に広く知っていただくための邦題として、宇宙開発のイメージを連想しやすい『アポロ計画』という言葉を選びました」

原作のノンフィクション「Hidden Figures」(「隠された(人たち/数字)」のダブル・ミーニング、映画原題と同じ)では、マーキュリー計画に関するエピソードだけでなく、より前後に広い時間軸が描かれているそう。

ただの宇宙計画よりも「アポロ計画」という固有名詞がなじんでいるという判断からして、不思議な感じがある。


最終的に副題をはずして『ドリーム』だけに変更となったが*1、これでは宇宙開発を描いた作品ということすらわからない。
たしかに原題そのままでも内容がつたわらないし、ダブルミーニングも消え去ってしまうが、意訳する方法はいくらでもあるだろう。たとえば隠されたことと数字のダブルミーニングで「数えるべき人たち」にするとか、どうしてもドリームを組みこみたいなら乗算と駆けるのトリプルミーニングで「NASAでかける夢」にするとか。

*1:女性向けはスイートに、誤解を招く表現…「アポロ計画」だけじゃない、映画邦題の問題点 町山智浩さんに聞く「変更に至った理由としては、ファンからの意見を汲んだ本国からの変更要請、報道をきっかけに広がった批判への対応などが考えられるという(注:実際の経緯は、配給側に追って取材予定)」