法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

森友学園への追求に対して、なぜか蓮舫氏の二重国籍を追及しようとする人々

まず、はてな匿名ダイアリーの主張がブックマークを集めていた。
蓮舫さんにはお願いだから民進党代表をやめてほしい

最近の森友学園の問題に興味があって国会見てたら、安倍さんの答弁あまりにもひどすぎて笑っちゃったんだよね。あのチンプンカンプンで何言ってるか分からない様子がすごかった。こんなのを自分の国の総理にしたのかと思うと辛い気持ちになるほどだった。

それで思った。やっぱり蓮舫さんは民進党の代表をやめて欲しい。蓮舫さんがいるかぎり安倍さんの安定政権が続く気がする。

蓮舫さん本人が二重国籍についての説明が嫌なら戸籍謄本見せなくて良いと思ってる。でもそれをしたくないんだったら早く民進党の議員をやめて欲しい。

きちんと当時の報道を追っていないのだろうか。
専門家の奥田安弘氏は二重国籍と即断できる状況ではないという見解を示していたし、事実として法務省も即断をさけていた。
「国籍」とは何か?――蓮舫議員をめぐる議論をきっかけに改めて考える / 奥田安弘×荻上チキ | SYNODOS -シノドス-

1972年の日中国交回復の後ですから、日本政府は中華人民共和国政府を正統政府として承認しています。つまり、日本政府の立場では、中華人民共和国の国籍法を適用すべきだというのが公式見解です。そこには「帰化や届出によって外国の国籍を取得した者は自動的に中国国籍を失う」と書かれているので、蓮舫氏は日本国籍しか有していない、という見方もできます。

http://www.jiji.com/jc/article?k=2016091300976&g=pol

国籍事務を管轄する法務省は、「二重国籍」に当たるかどうか判断を避けている。日本と台湾の間に国交がなく、今回のようなケースに台湾と中国(中華人民共和国)のどちらの法律を適用するかが定まっていないためだ。

 法務省の担当者は13日、「実際に外国籍があるかどうかは、その外国政府が判断すべき事柄だ」と指摘する一方、蓮舫氏のケースで「外国政府」が台湾当局と中国政府のどちらを指すかは特定しなかった。

やがて中国の国籍法を適用しないという見解を法務省が出したものの、もちろん台湾の国籍法を適用するという判断を出せたわけでもない。あくまで日本の国籍法を適用するという従前の見解しか出さなかった*1


そもそも、蓮舫氏は帰化したのではなく、国籍法の改正により母親と同じ日本国籍をえられる状態になり、届出によって日本国籍を選択した。
ゆえに、先述した奥田氏によると、日本の国籍法においては違法状態ではないし、政治家になることにも法律上の問題はない。

仮に蓮舫氏が二重国籍であるとしても、日本の国会議員であること、民進党の代表になること、将来内閣総理大臣になることについては、現在の日本の法律上は何の問題も発生しません。

届出による経過措置は、帰化とは異なります。日本の国籍法では、外国人の方が日本に帰化する際は元の国籍を失わなければならない、と定められています。しかし、届出の場合はその条件がないんです。

日本の国籍法上は、台湾の国籍喪失許可の申請を強制することはできません。

蓮舫氏への批判に二重国籍をもちこむことは、あくまで政争的な論難と、排外主義の一種でしかない。
蓮舫氏を批判したいなら、民進党野田派であることなど、他にいくらでもあるだろう。


そう思っていたら、維新の党の足立康史氏が国会の質疑でとりあげるという。
足立 康史 - 本日午前11時35分から衆院総務委で質問に立ちます。一昨年と昨年の積み残し案件の棚卸しの一環として、蓮... | Facebook

蓮舫氏の二重国籍問題については国籍に係わること故、慎重に判断してきたところです。

しかし、辻元清美議員による一連の稲田防衛相攻撃や昨日の参院予算委での蓮舫氏の質疑を見て、やはり、その二重基準だけは看過できないとの判断に至り、本日の質疑で取り上げることにした次第です。

ちなみに足立氏はストレス解消のために、蓮舫氏らへ日本へのオーバーなほどの忠誠を要求したこともある。

読んでのとおり、帰化国籍選択の区別がついていないことも露呈している。慎重さの底が知れるというものだ。
もちろん、たとえ国家への忠誠が求められたとしても、そのかたちなど人それぞれのはずだ。

*1:状況のめんどうくささもふくめて、清義明氏のブログがよく当時の報道をまとめている。誰もトクにならない「二重国籍」問題 ・・・法務省の韜晦テクニックの裏側 と「ふたつの中国」 | Football is the weapon of the future