法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

副園長の暴行事件について塚本幼稚園の説明を読んでいくと、稲田朋美防衛大臣とのつながりを補強するものだった

副園長自身の文章で釈明するのではなく、副園長からの伝聞を書いたブログを引用している。不思議なまわりくどさだ。
http://www.tukamotoyouchien.ed.jp/information/%e3%83%a1%e3%83%87%e3%82%a3%e3%82%a2%e3%81%ab%e3%82%88%e3%82%8b%e3%80%8c%e6%9a%b4%e8%a1%8c%e4%ba%8b%e4%bb%b6%e3%80%8d%e5%a0%b1%e9%81%93%e3%81%ae%e7%9c%9f%e5%ae%9f%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/

小学三年生の子供に挨拶すると、無視していたので「何で挨拶しないの?」と訊いたら、「何で、お前に挨拶せなあかんのや」と言って副園長の右足を2回蹴とばしてきた。

その後、この子供が父親を連れて来て「俺の子を叩いたんか」と言ってきた。そしてこの子供の母親は被害届を出した。ただ、母親が警察に詰め寄ったためこの時は被害届は受理されなかった。

しかし最終的に被害届は受理されたといい、そうなると被害者側が99%勝つので大阪地裁で負けたのだという。
報道によると挨拶をしなかったことで体罰をくわえたそうだが、この園側の説明が正しいならば一方的に蹴られただけということだろうか。田んぼに園児をつきおとすような体罰がおこなわれていることも報道されているが。
ちなみに引用されているブログには「体罰というのは、使い方によっては効果を出すものだと思います。これを全否定して、指導側が委縮する今のマスコミの論調は間違いであると思います」*1のように体罰を肯定するエントリも複数ある。

警察の呼び出しは2回あり、その10か月後に逮捕されて、留置所に18日間入ることになった。

この時、検事は副園長に「子どもは嘘をつかない。あなたは犯人だ」と誘導尋問してくる。しかし、嘘がつけない副園長は最後まで「やっていない」と言い続けた。


否認し続けたため、大阪地裁で30万円の罰金となった。本当の被害者は誰であるのか、明らかである。


そして部屋を出る日、泣いて送られた。
看守は「あなたのような信念ある方は頑張ってほしい」と言い、「先生、頑張れ」と励ましてくれた。ある方は耳そばで「がんばれ」と言ってくれた。

なるほど検事の言葉自体は、たしかに冤罪事件の調査報道で見かけるような決めつけではある。
一方、園側の説明が信用できるかというと、それはそれで非常に難しい。渦中にある側からの貴重な証言ではあるが、説得的なディテールに欠けている。朝に掃除中に挨拶をしていたなら、複数の目撃者がいそうなものだ。日常において副園長が体罰をしないなら、そういう証言も傍証として出てくるだろう。「本当の被害者は誰であるのか、明らか」とは思えない。
そもそも、どのような立場かわからないブログの文章を「真実を取り上げて下さっております」と紹介されても解釈に困る。


あらためて紹介されているブログを見ると、ブログタイトルの下で「保守の会会長 松山昭彦のブログ」と説明されている。
http://blogs.yahoo.co.jp/bonbori098/34628772.html
そう、Facebookでの「国会議員になる前の稲田朋美先生は塚本幼稚園の顧問弁護士だったそうです」という記載が注目された松山氏だ。
稲田朋美防衛相「森友学園側の顧問弁護士だった事実はない」 デマの主は「反日左翼の皆さん、残念でした」 | ハフポスト
その後、稲田大臣の夫が顧問弁護士だったと訂正されたが、「保守の会」の公式サイト*2には稲田朋美氏が顧問という関係が記述されていた。
【森友学園】稲田大臣の「夫」が塚本幼稚園の顧問だった? 本人は「答えられない」

3月5日に確認した段階で、稲田防衛相はここで顧問を務めていると書かれていたが、6日夜現在メンテナンス中になり、閲覧できない状態だ。

「保守の会」が応援していることは知られていたが、それが一方的な関係ではなく、園側も歓迎していることが今回のブログ引用でわかった。


さらに松山氏のブログをさがすと、2012年に稲田氏を顧問としてむかえたエントリが見つかった。
http://blogs.yahoo.co.jp/bonbori098/30972965.html

我が地域の自民党支部長で次期衆議院選挙候補者の勉強会に稲田朋美先生がやって来ました。
当初予定した来場者を大きく上回る大盛況でありました。
私たち3名が稲田先生のお迎えにJRに行き、列車から降りられた稲田先生に挨拶をした印象はとても気さくで偉ぶるところがまったくなく、国会で愚かな民主党の閣僚たちを斬り込んで追い詰めているあのイメージはどこにも感じられませんでした。

稲田氏と塚本幼稚園の関係があったかは不明だが、どうやら両者をつなげる団体そのものが自民党から派生したものらしい。

ホテルに入り、控室で稲田先生にお願いごとをしました。
それは、我が地域で新たに“保守の会”を立ち上げるので、その顧問になって下さいというお願いでした。

稲田先生は快く承諾を頂き顧問に就任して頂けることになりました。すでに歴史学者新しい歴史教科書をつくる会の副会長をなされている福地惇先生が顧問就任への快諾を頂いております。

松山氏の主張を全面的に信用できるかというと、それはそれでやはり難しいところはある。しかし掲載された写真などを見るかぎり、大筋では嘘をついていないだろうとは感じる。
いずれにせよ松山氏のブログを見るかぎり、塚本幼稚園だけでなく保守の会との関係についても稲田氏は釈明する必要があるだろう。