法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

アパホテルによる歴史認識を謝罪しない文がちょっとすごい

諸外国からの批判*1を受けて形式だけは謝るだろうと思っていたので、意外ではある。
客室設置の書籍について | 【公式】アパグループ

本書籍の中の近現代史にかかわる部分については、いわゆる定説と言われるものに囚われず、著者が数多くの資料等を解析し、理論的に導き出した見解に基づいて書かれたものです。国によって歴史認識歴史教育が異なることは認識していますが、本書籍は特定の国や国民を批判することを目的としたものではなく、あくまで事実に基づいて本当の歴史を知ることを目的としたものです。したがって、異なる立場の方から批判されたことを以って、本書籍を客室から撤去することは考えておりません。日本には言論の自由が保証されており、一方的な圧力によって主張を撤回するようなことは許されてはならないと考えます。

田母神俊雄氏が航空幕僚長をやめる原因となった懸賞論文を、いまも毎年のようにつづけていることを考えれば、予想するべきだったか。
インターネットなどではアパホテルのこういう態度を応援するという主張も散見され、現代社会ではビジネスにおける失点にはならないのかもしれない。


とはいえ、主張をとりさげないどころか、ニュースリリース内で再掲するとは、いま読んでいても目をうたがう。

本書籍P6に記載しています、南京大虐殺に関する見解を掲載いたしますので、事実に基づいて本書籍の記載内容の誤りをご指摘いただけるのであれば、参考にさせていただきたいと考えています。 

誤りを指摘されるという仮定において、撤回ではなく参考という表現を選ぶあたりが“本物”っぽい。


実際に掲載された見解を読んでいくと、なるほど事実に基づいて批判することが難しい。

コミンテルンの指導で第二次国共合作が成立したことで、国民党政府軍は中国共産党への攻撃をやめ、国民党政府軍に共産党勢力が入り込み、日本軍を挑発して、日本を戦争へ引きずり込んでいったことが背景にある。

つまり日本は挑発にのったと。

中国盧溝橋付近で北京議定書に基づき合法的に駐留していた日本軍の軍事演習中に、日本軍とその近くにいた国民党政府軍の双方に対して実弾が発射されたことをきっかけに、戦闘状態になった(盧溝橋事件)。

敵軍のすぐ近くで軍事演習すること自体が挑発になるのでは……

日本を激怒させ国民党政府軍と戦争をさせる為に、同年七月二十九日、中国保安隊によって日本人婦女子を含む二百二十三人が残虐に虐殺された「通州事件

傀儡政権に反乱された時*2、なぜか日本の激怒する対象が国民党になると予測しきったコミンテルンすげーな。

同年八月九日に起こった「大山大尉惨殺事件」

中国軍に惨殺させるため、まず大山“中尉”を中国陣地に接近*3するよう誘導できたコミンテルンすげーな。

上海に合法的に駐留していた日本海軍陸戦隊四千二百人に対して、三万人の国民党政府軍が総攻撃を仕掛けた第二次上海事変

合法だったか、えらいぞ。もちろん他国の植民地も合法だから、それを解放するため大東亜戦争をしたという理屈はあきらめるわけだ。

そもそも既に南京を攻略した日本軍にとって、南京で虐殺行為をする理由はない。

ずっと中国側の行動をコミンテルンの陰謀で説明しておいて、急に我に返って動機の有無を検討しだすのずるくね?


掲載された見解を読むと、そもそも歴史的事実に当てはめてどうこういう気が失せていく。ちょっとは世界観の統一をはかろうよ。