法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

“観てない範囲は語らない”と最初に宣言したら“観ないで語るなんて”といった読解力のないコメントがついた謎

『火垂るの墓』や『はだしのゲン』に比べれば、まだ『この世界の片隅に』は“よくある反戦アニメ”に近い - 法華狼の日記

まだアニメ版の『この世界の片隅に』は観れそうにないが、産経記事*1の監督コメントで『火垂るの墓』が好意的に言及されたこともあって、とりあえず原作準拠で考えをまとめておく。

上記エントリに対する下記コメントのこと。他にも同種のコメントがいくつかある。
はてなブックマーク - 『火垂るの墓』や『はだしのゲン』に比べれば、まだ『この世界の片隅に』は“よくある反戦アニメ”に近い - 法華狼の日記

id:zions 観ないで語るなんて増田でも馬鹿にされてるのに、これだけ書いてしまえるなんて度胸あるな。的外れな主張をする恐怖はないのだろうか?史料なしに語る人々を「歴史修正主義」とか叩いてませんでしたっけ? これはひどい

たしかに一般論として、できるかぎり関連作品にも目をとおすべきということはいえる。レビューの対象が原作ではなくアニメ版であれば、観ていないとわからない文脈がありうることは留意すべきではあろう。
しかし、俎上にあげられている作品をすべて見ていなくても、感想に疑問符をつけることはできる。たとえば『機動戦士ガンダム』を1話も見ていなくても、“巨大ロボットをリモコン操縦するのではなく人間が乗りこむのは斬新だ”という感想が間違っていることは『マジンガーZ』を見ていれば指摘できるし、なんなら見ていなくても知識だけで否定できる。
そもそも、「これだけ書いてしまえる」といわれても、実際にエントリを読めば文章の大半は反戦アニメの傾向と『はだしのゲン』『火垂るの墓』の評価だとわかるはず。「観ないで語るなんて」といいながら、zion氏はコメントをつけた対象を観ていないのだろうか?

id:junglejungle 見てないので原作だけで語るんなら"アニメ"として近いかどうかなんてわからんだろうに。

そもそも違和感を向けたのがアニメ表現についてのレビューではない。読んでのとおり、アニメとしてではなく、物語構造やメッセージ性の話をしている。
そもそもエントリをきちんと読めば、『はだしのゲン』は原作漫画を原則としてとりあげていると理解できるはずだ。アニメという表現を使った作品とのみアニメ映画版『この世界の片隅に』が比較されていたら、私も無視していたかもしれない。

id:fatpapa よくある反戦アニメを沢山観たというがほたるやゲンに対する代表的反戦アニメが例示されてなく意味不明。反戦アニメに名作はなく「戦時下のドラマ」の名作が1つ生まれただけじゃ?反戦かどうかは観る人にもよろうし

このコメントに対しては、具体名として『うしろの正面だあれ』を追記したが、それ以前から注記で『ジュノー』に言及しているし、そのリンク先でくわしくコメントをしている。リンク先まで見ないのはしかたないとしても、本文だけでなく注記までくらいは目をとおしてほしいものだ。

id:komamix 主人公が反戦語らなかったから反戦映画ではないって斬新な意見すぎて「なに言ってんすか」としか思えない。作品を鑑賞する根っこの部分が違う

誰に対するコメントかよくわからないし、このコメントにzion氏がスターをつけている意味もわからない。私は『火垂るの墓』や『はだしのゲン』を「反戦アニメらしからぬ」と評したが反戦作品ではないとは主張していないし、その理由も物語構造であって主人公の台詞とは関係ない。