法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒season15』第8話 100%の女

外務省欧州第一局長の男性が刺殺体で発見された。目撃証言から、同じ外務省につとめる男性が容疑者となり、裁判がはじまる。
裁判で検察側を担当したのは、有罪率100%の優秀な女性、倉田。しかし倉田と同期の冠城は、目撃証言の変化に気づく……


今回は以前に捜査一課と同行していた冠城の記憶が発端で、メインゲストは冠城の知人で、さらに冠城の元上司が登場。冠城と杉下が組んで一課を誘導するあたり、今シリーズならではの「相棒」の暴走が楽しい。
本筋は、被害者が駐在する予定だったロシア関係の暗殺がにおわされる。しかし国家が実名で出されているので、ミスディレクションであることは視聴者には明らか。夫婦仲の強制的な維持という動機につながるものの、あくまで検察の起訴の妥当性を問うドラマとして展開していく。
よく冤罪問題と関連づけられる日本の起訴有罪率の高さを、有罪にできない事件を不起訴にしてあきらめる問題として倉田がとらえるのは、ドラマでは珍しい提起だと思う。目撃者と検察官が共犯的に証言をずらしてしまったことも、それぞれ堅い職業についた女性という立場の弱さを組みこんでいて、けっこう社会派テーマの味わいがある。
とはいえサスペンスとしてはひねりが弱くて、大筋としては検察は間違っていなくて、違う動機や共犯者がいたというだけ。もう少し男子学生の伏線があれば印象は違っていたろうが……