法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』スーパーヒーローふろしき/カッコータマゴ

番組最後には来年の映画の最新映像も。作画はなかなか良好そうだ。物語は謎の指輪をめぐる争奪劇になるらしい。しかし台詞で「アトランティス大陸」が登場したのは、大長編第4作『海底鬼岩城』との整合性が気にかかる。


「スーパーヒーローふろしき」は、スーパーヒーローにあこがれる子供たちが正義の味方ごっこをしたくて、暴力をふるう相手を求めて暴走を始める……
原作初期ながら、安易に正義の味方に憧れることを冷ややかに描く、いかにも藤子F短編らしく完成された作品。同種の短編『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』と違って、あくまで子供のごっこ遊び用の秘密道具であるため、さほど能力は高くないこともポイント。
同種のヒーローごっこパターンの雛型であるため、このエピソードならではという個性は少ないのだが、情けないオチは楽しい。そのオチでのび太が屋根にのぼれたことの説得力を出すため、アニメオリジナルで蛍光灯をとりかえるため壁沿いに飛行する能力を見せていたのも良かった。作画も全体として良好で、それなりにアクションの量が多いエピソードを、よく止めずに動かしていた。
ちなみに劇中劇の架空ヒーロー「スーパーダン」は明らかに『スーパーマン』がモデルだが、前世紀末には時代遅れになっていた描写が、アメコミヒーロー映画が大ヒットをつづける昨今では一周まわって現代的になっている。


「カッコータマゴ」は、カッコーの托卵にヒントをえて、他人の家の子供になりかわる秘密道具が登場。のび太は骨川家の生活を満喫するが……
他人の家族になることで自分を客観視するエピソードも原作にあるが、今回は素直に裕福な家の生活を楽しむストーリー。もっとも野比家も現代においては裕福な部類に入るだろうか。
今回はほぼ原作に忠実な映像化であり、ひどいオチも改変せずにBGMでしっかりもりあげて落した。アニメオリジナル要素といえば、良い匂いにひかれて剛田家でカレーライスを食べる場面くらい。きちんと家の手伝いをしていたジャイアンがカレーを食べられなかったのは、前半の暴力を見た上でも哀れではあった。