法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『魔法つかいプリキュア!』第34話 ドキドキ!初恋の味はイチゴメロンパン!?

まゆみが、他校の男子生徒にひとめぼれしたという。それを聞いた主人公たちは、占い師を演じて助けてあげようとする。
しかし、かなも魔法使いをさがしながら仲間にくわわったことで、主人公たちは魔法で占いをすることができなくなり……


松浦仁美の単独による作画監督は第1話以来。なかなかに絵は整っていた。
これまで主人公の障害となってきた魔法使いさがしの情熱が、クラスメイトの人探しを助ける動機へと転化する。コメディチックに描いてきたサブキャラクターを、本質は何も変えないまま、シリアスなストーリーの補佐へと位置づけた脚本に感心した。
普通なら失恋がクライマックスになりそうな物語を、ヘテロセクシャリズムな恋愛への協力をとおして、ホモソーシャルな関係が築かれる踏み台としたところも興味深い。『落窪物語』の昔から、男女の性愛を助ける関係性が百合の域に達した物語は少なくないが、こうなると『カードキャプターさくら』の名台詞を思い出させる中盤の台詞も意味深い。
そして敵の攻撃が完全に物語の障害としてあつかわれる。敵幹部の動きで本筋が動くことはなく、その台詞でドラマをほりさげることもない。さらなる新幹部も登場したというのに、本当に馬に蹴られて死ぬような役割で終わった。
そして、さがしつづけた魔法使いの影を最後に見つけて、サブキャラクターのドラマにオチをつけた。それが同時に主人公の存在意義を示したしめくくりでもある。美しい構成。