法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ジャイアンの歌がやめられない/夜空に輝くピザ・ギョーザ

ほぼ原作どおりの前半と、完全にアニメオリジナルな後半と。たぶん劇場にスタッフをとられている時期だろうに、作画が良かった。


ジャイアンの歌がやめられない」は、中毒を治す薬のかわりに、中毒にさせる薬「ヤメラレン」が出てくる。それを逆用して、ママを別の中毒にさせようとする。
依存症を中毒と呼んでいた時代があったな、という作品。原作ではパパがニコチン中毒なのに、今回のアニメ化ではなぜかママがセンベイ中毒ということにされる。最近のTVアニメでパパが喫煙するシーンが少ないためだろうか。しかし生活ギャグアニメの日常パターンを中毒と解釈するギャグは悪くないが、原作とちがうキャラクターが悪者にされるのは違和感ある。
また、原作ではのび太ドラえもんだけが歌中毒になるところ、今回のアニメ化では友人たちも巻きこまれる。依存症が知人関係を巻きこんでしまう現実のパロディとして成立しているし、原作以上にジャイアンがひどいめにあう展開も納得感ある。オタ芸のうっとうしさも、なかなかギャグとして良かった。


「夜空に輝くピザ・ギョーザ」は、星座談議で女子の気をひくスネ夫に対抗して、適当な星座をでっちあげるため「プラネタイジリウム」で星の位置を変えていく。
原作でいえば「日づけ変更カレンダー」に似た内容だが、ひたすら適当な星座をつくっていくギャグがくりかえされるだけで、展開に意外性や納得感がない。
そもそも、たかが星座をつくりかえるため星を動かすという、必要以上に強力な秘密道具に困惑した。天文学の考証がメチャクチャだった映画『のび太の人魚大海戦*1とちがって、SF設定として成立はしているが……実際に星を動かしたならば、異星人が怒ってやってくるというだけのオチですまないだろう。
たとえば理科で習う範囲の科学を応用して、大気に寒暖差をつくって星の位置を屈折させていたら天候が悪化した、といった設定と展開で良かったのでは。