法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『名探偵プリキュア!』第12話 キュアアルカナ・シャドウの秘密

 事務所の窓を開けようとする明智。ポチタンにも押してもらうが、うまくいかない。キュアアルカナ・シャドウについて、ジェットがロンドンの事務所に問いあわせたというが返事はまだない。
 一方、CDショップで悩んでいたゴウエモン。女性客が手首につけているミサンガにマコトジュエルが宿っているが、奪うために切るとマコトジュエルが消えてしまうし、自然に切れて願いが成就してもミサンガはゴミになってしまう。
 ゴウエモンから悩みを聞いた森亜は店員に変装して女性客に話しかける。一方、森亜をさがしていた明智と小林もCDショップにおとずれて、女性客に知らないかとたずねるが……


 今回も村山功シリーズ構成の脚本だが、謎が解けて羽が舞う作品フォーマットは削られている。森亜の情報集めに、いつものマコトジュエル争奪、そしてキュアアルカナ・シャドウの情報をひとつ開示するという要素がつまっているためか。それとも森亜の強さを印象づけるため、あまり主人公を活躍させられないのか。
 実際、今回に森亜の変装が見破られたのは他の店員にここには男性店員しかいないと説明されたため。その時点でミサンガは自然に切れた上で女性客が大事な思い出の品とあつかうことを決めて、マコトジュエルが失われないままミサンガを盗める状態にする目的は達していた。
 てっきりミステリ的な伏線と思った開かない窓が、おそらく真実を知って視界が開けることのメタファーでもあるとはいえ、森亜がもともと事務所にいたことの証拠として使われただけなこともひょうしぬけ。ミサンガを盗む方法も、切れたミサンガの主観的な価値を言葉の説得で維持させたという、やや詐欺師めいた手法で巧妙な伏線などはない。
 とはいえ、物を盗むためには破壊しなければならないが、破壊すれば価値が失われてしまうというパラドックスを、作品独自の設定とあわせて怪盗視点で描いた状況はミステリとして興味深かった。ゴウエモンと森亜の協力関係も軽妙で、CDショップで背景にピントのボケたゴウエモンが映りこむシュールな絵面の楽しさもあり、今回はけっこう子供向け怪盗アニメとして楽しかった。


 絵コンテは演出助手出身の仲畑ひなと、ベテランの志水淳児の共同。仲畑は2022年からフリーランスとなり*1、ショートアニメ『ちいかわ』でコンテ演出経験があるらしいが、共同とはいえ通常のTVアニメでのまとまったコンテは初だろうか。しかしどちらがどのように担当したのか、はっきりしないので判断はしづらい。
 冒頭では矢印でポチタンの存在を絞めるような遊びを入れて、前半は、障害物の多いCDショップ店内もそつなく見やすかったのに、街中のアクションシーンになると空間は立体的だが遠近感が薄くて殺陣が説明的すぎる。ただこの演出の印象の違いは、作画監督の爲我井克美が担当したであろう前半の美麗な絵と、おそらく沼田広やノエル・アンニョヌエボが担当した部分での絵力の低下も関係していそう。