法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ノラガミ ARAGOTO』が不適切な音源を使用しため修正するとの情報

PDFファイルでの謝罪文もアップロードされている。アニメ公式サイトのトップページにリンクされていた。
http://noragami-anime.net/owabi/img/noragami_owabi.pdf

今回の音声使用は、BGMの制作過程において、市販の音声素材を加工して本作品に収録したものであり、決してイスラム教やイスラム教信者の方々を侮辱、冒涜するなどの意図はございませんでした。しかしながら、当該音声の意味内容を確認しないまま収録し、公表するに至った結果、イスラム教と信者の方々に配慮を欠く結果となってしまいました。

映像ソフトなどでは音声がさしかえられるそうだが、この謝罪文だと経過がよくわからない。もともと音声素材に問題があったのか、音声素材を加工したのが良くなかったのか、使用する場面の文脈に問題があったのか。
どうやら礼拝を呼びかける音声「アザーン」をサンプリングしたらしい。宗教音楽に近いとされている「アザーン」だが*1イスラム教は音楽を望ましいものと考えず、「アザーン」も音楽ではないとされているらしい。
JTB交流文化賞 - イスラム教の礼拝告知、アザーンに包まれる街 シリア・ダマスカス ーウマイアモスクのアザーン朗唱ー

 アザーンのメロディーには決まりはない。だから朗唱者や地域の違いによってさまざまなメロディーが付けられている。トルコ、シリア、ヨルダンでは豊かな旋律で唱えられるアザーンが一般的だったけれど、イエメンでは抑揚がなく怒鳴ったように唱えられていた。どちらにしても、そのメロディーには音楽的な響きが含まれている。
 でもアザーンは音楽ではない。イスラムの教えでは音楽はあまり良いイメージではないので、アザーンは宗教行為とされている。

もともと神と人の関係を題材にした作品であり、どこか宗教に引っかかる可能性は感じていたが、このようなかたちで関係してくるとは予想できなかった。
とはいえ、日本アニメを公式に輸出している昨今、気をくばるべきところではあったろう。『ノラガミ』自体、日本刀剣などのモチーフが興味を引くのか、海外での人気が高いという。
アニメ「ノラガミ」監督インタビュー「1・5倍速で見る人でも話つかめるよう努力してます」

海外の人は刀を振る作品が好きだとは聞いていましたが、ふたを開けたら予想以上に多かった。でも刀は入り口でしかありません。海外でも主人公たち3人の関係性をきちんと受け止めてくださった方が多くいて、そこもすごくうれしかったです。国内のアニメ市場は横ばいになっているし、スマホひとつあれば暇つぶしはいくらでもできる時代。「ノラガミ」の海外配信も始まっていますが、今後は世界で配信、他の国の人も楽しめる作品が求められているのかな。


少し興味深いのが、おわびを伝える公式ツイッターへのツイート。

イスラム教徒から感謝をつたえているらしいツイートが多数ある。もともとツイッター上での抗議が活発だったらしいが、海外人気が高いというのも事実らしい印象をうけた。

*1:アザーンとは - コトバンクによると「専業の朗唱師ムアッジンによってミナレットの上から声高らかに唱えられるが,これはきわめて〈音楽的〉な現象である。イランやトルコでは,アザーンが古典音楽の旋法の一つにほぼのっとり唱えられ,また時刻によって異なった旋法によるアザーンが唱えられることもある。」とのこと。