法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

政治的デモンストレーションへの魔女狩りデモクラシー

ミュージシャンでジャーナリストというモーリー・ロバートソン*1の下記ツイートをはじめとして、リスクを負わないデモを本気ではないとみなす意見がある。

本当に言論が保障されているなら、日常ととなりあわせなデモを気軽におこなえるはずなのに、抑圧されていないことをもって参加者の本気を否定する。


こうした意見に対して、日本でも「転び公妨」をはじめとしたデモへの抑圧が見られると指摘するまでもない。比較的に言論が保障された諸外国でおこなわれているデモへの評価を問うまでもない。
ほんの少し前、安保法制反対デモに対して、参加すれば人生が失われるかのようなリスクが主張されていたばかり。
http://www.asahi.com/articles/ASH7W5SYRH7WUTIL03M.html

衆院の安保審議が大詰めを迎えた14日以降、「就職や結婚に響く可能性」などという大学生のデモ参加をめぐるツイートが次々と投稿された。「デモに行くだけで、確実に人生詰みますよ」「就職に不利益が…」。16日にツイッターに投稿されたつぶやきは約3千回もリツイートされた。

デモをさまたげるようにリスクが主張され、それが否定されるとリスクがないことをもってデモを否定する。
自由の行使そのものを批判する理由にもちいれば、どう転んでもデモを否定することができる。


体制は自己の正当化のため理屈を後づけし、その理屈はしばしば相互に矛盾する。
魔女狩り(まじょがり)とは - コトバンク

教会に行きたがらぬ者は魔女の疑いがある、熱心に教会に通う者は偽装した魔女である、と断定している。

魔女裁判では拷問が用いられ、自白が強要された。拷問によっても自白しないときには、自白しないという事実が悪魔の保護下にある証拠だとして断罪された。

念のため、相互に矛盾する意見が独立して出されることは自由だろう。
矛盾が問題になるのは、体制側*2として異論と相対する場合だ。
矛盾する基準をもちいれば、あらゆる異論を恣意的に排除することができてしまう。

*1:ツイッターアカウントは[twitter:@gjmorley]。モーリー・ロバートソン on Twitter: "学生を動員して単純で美しい正義を語らせ、放言するように仕向け、そしていざ実務的な議論になるとけしかけた大人は責任を取らずにすむ。これとまったく逆をやっているのが英国の労働党新党首のコービン氏です。彼には国民に届く説得力がある。 https://t.co/ubBfjiin1G"等のツイートからの流れを見て、今回の日本の安保法制反対デモへの批判と考えていいだろう。

*2:デモの主導者が体制側としてふるまうこともあるし、体制側の基準を内面化することもある。