法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『テレメンタリー2014』僕、殺したんじゃあねぇもの〜野田事件35年目の真実〜

千葉県野田市の竹藪で、小学1年生の女児が遺体となって見つかった。逮捕され有罪となったのは、知的障碍者のため6歳ほどの知能しか持たない青山正氏。
被害者のカバンから切りとった断片を所持していたり、取調べ資料で自白が確認できることから、有罪が確定したのだが……


30分枠のドキュメンタリー番組だが、あまり知識を持っていない人間からしても経過がわかりやすく、証拠捏造の疑いがどこにあるか整理されていた。
まず、被害者が持っていた『キャンディキャンディ』のカバンについて捏造が疑われていることは知っていた。物証とされたものは正規品なのに、最初に映された写真は模造品らしいことが、カバンのメーカーの証言や画像解析で指摘されている。
カバンをめぐる取調べ音声を解析すると、定期入れにあるはずのカバン片が見つからなかったという台詞もある。これは定期入れからカバン片が見つかったという調書と矛盾するわけで、警察の捏造を疑わせる証拠のひとつだ。


取調べの音声どころか、実況見分の映像まで残されている。これは知らなかったが、番組で実際に見ると、青山氏は刑事にいわれるがまま犯行方法を語っているだけ。自白としての説得力がないことはなはだしい。映画『殺人の追憶*1で知的障碍の容疑者を実況見分で連れまわす場面を、番組を見ながら思い出さずにいられなかった。
しかも女児を入れた穴は深く、警察官すら足をすべらすほど。歩行にも障碍をかかえている青山氏は竹につかまりながら降りるわけだが、その指紋も残っていないという。正確には、指紋があったことも資料に残っていたのだが、青山氏への容疑をかためる最中に、判別不能とされたのだ。本当に判別不能なら、なぜ見つけて資料に記す時にそう評価していないのか、元警察官の鑑識鑑定士からも疑問視された。
見ていて、青山犯人説に不都合だからと真犯人の指紋が握りつぶされたのかもしれない、と感じてしまった。そこまでして面子を守りたかったのだとすれば、いったい警察とはなんなのだろう。

*1:韓国の実在事件を題材にした劇映画。感想はこちら。http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20100729/1280424362